函館山のふもと、元町の坂をくだりきった先にある。 観光客がほとんど来ない、地元の人たちの銭湯。 料金は大人440円。 そこに、赤茶けたお湯が満ちている。 冬の函館で、体の芯まで冷えきったとき。 ここに来ると、ようやく旅が落ち着く気がした。
谷地頭温泉のおすすめスポット
谷地頭温泉|440円で入れる、本物の赤湯
脱衣場のロッカーは古い木製。
床は濡れていて、地元のおじさんたちが黙々と体を洗っている。
観光地の雰囲気は、欠片もない。
お湯の色は茶褐色、いや赤に近い。
鉄分が濃いのだ。
源泉かけ流しで、湯温は42〜43℃ほど。
じっと浸かると、肌の表面がじんじんしてくる。
浴槽は広い。
大きな窓の外、雪が積もっているのが見える。
内湯だけでなく、露天もある。
冬の空気の中、熱い湯に首まで沈む。
10分もいると、顔まで真っ赤になった。
入浴後、休憩室で缶コーヒーを飲んだ。
畳の上に寝そべっている人もいた。
時計を見ると、気づけば2時間が経っている。
そういう場所なのだ、ここは。
谷地頭〜元町の坂道散歩|湯上がりの体で、坂をのぼる
温泉を出ると、外気が冷たい。
湯上がりの顔に、函館の冬が刺さる。
でもそれが、気持ちよかった。
谷地頭から元町まで、徒歩で15分ほど。
坂をのぼりながら、函館湾が見えてくる。
冬の海はグレーで、重たい色をしている。
それがなぜか好きだ。
途中、立待岬への道を少し外れた。
観光客ゼロ。
波の音だけがしている。
夏には賑わうだが、冬の静けさは別物だ。
元町の坂道は、坂ごとに表情が違う。
石畳、電線、古い洋館。
どこを切り取っても、絵になってしまう。
カメラを構えると、地元の人が自転車で通り過ぎていった。
ここは観光地でもあり、生活の場でもある。
そのバランスが、函館らしい。
函館朝市|温泉の翌朝、6時から始まる世界
谷地頭温泉に泊まりがけで来るなら、翌朝は朝市に行くべきだ。
開場は6:00。
冬は空が暗いうちに始まる。
息が白い。
手がかじかむ。
それでも、店はもう動いている。
イカ刺し、ウニ、いくら丼。
値段は観光地価格だが、鮮度は本物だ。
いくら丼を頼んだら、丼からはみ出すほど乗ってきた。
1,800円。
文句のつけようがない。
店のおばちゃんが「どこから来たの?」と聞いてきた。
会話が始まって、昆布の話になって、試食をもらった。
旅の中で、こういう時間がいちばん記憶に残る。
朝市から函館駅まで、歩いて5分。
新幹線の時間まで、もう一杯コーヒーを飲んだ。
谷地頭のお湯が、まだ体に残っている気がした。
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谷地頭温泉への行き方
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