えりも岬から車で40分。 道は細くなり、集落が消え、 やがて白い世界だけが残る。 豊似岳は、標高1,105m。 派手さは何もない。 でも、冬に登ったあの静けさは 今でも頭から離れない。
豊似岳のおすすめスポット
豊似岳登山口|ここから先、人の声は聞こえなくなる
登山口に着いたのは朝7時15分。
気温はマイナス11℃。
車から出た瞬間、鼻の奥が痛くなった。
駐車スペースは5〜6台分ほど。
トイレはない。
その日、ほかに車は1台だけだ。
雪はすでに膝近くまであった。
ラッセルしながら進む最初の30分が、いちばんきつい。
息が上がる前に、森が深くなる。
エゾマツとトドマツが両側に並んで、
空が細くなっていく。
その静けさが、じわじわと気持ちよくなってくる。
風の音だけが聞こえる。
自分の足音と、呼吸と、風。
それだけの世界に、いつの間にか入っている。
山頂稜線|360度、遮るものが何もない
登り始めて約2時間40分。
樹林帯を抜けた瞬間に、視界が開いた。
思わず立ち止まった。
声も出ない。
日高山脈の稜線が、右から左へと続いている。
南には太平洋。
快晴だったその日は、水平線がくっきりと見える。
風が強かった。
体感気温はマイナス20℃近かった。
でも、その寒さより景色が勝った。
山頂標識は小さくて、雪に半分埋まっている。
写真を撮るのに手袋を外したら、
30秒で指が痛くなった。
ここまで来る人が少ないぶん、
雪面には自分たちのトレースしかない。
その「誰も踏んでいない白」が、
いちばんの景色だっただ。
豊似湖展望台|ハート型の湖を、雪の上から見下ろす
下山後に寄ったのが豊似湖展望台。
登山口から車で15分ほど。
豊似湖はハート形に見えると言われている。
夏は木が邪魔して、実はよく見えない。
冬のほうが、木の葉が落ちてくっきり見える。
展望台までの遊歩道は、冬は踏み跡が薄い。
スノーシューで歩いて約10分。
途中、エゾシカの足跡が何本も交差している。
展望台に立つと、湖面が真っ白に凍っている。
ハート型かどうかは…正直、想像力がいる。
でも、その静かな湖と、周りの雪山の組み合わせは本物だ。
観光客は誰もいない。
しんと静まり返った空間で、
ただ湖を眺めている。
10分か、20分か。
時間の感覚がなくなった。
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豊似岳への行き方
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