氷点下の空気が、肺に刺さる。 阿寒湖の向こうに、どっしりと構えた黒い山。 あれが雄阿寒岳だと気づいた瞬間、 なぜか引き寄せられた。 標高1499m。北海道の奥地にある、観光客が素通りしていく山。 でも、冬に登った人間だけが知っている景色が、あの頂上にある。
雄阿寒岳のおすすめスポット
雄阿寒岳登山口|夜明け前、誰もいない雪道に一歩踏み出す
朝5時半、阿寒湖畔の駐車場はまだ暗い。
気温はマイナス12度だ。
登山口の標識が、ヘッドライトにぼんやり浮かぶ。
最初の1時間は樹林帯の急登が続く。
雪は締まっていて、アイゼンがよく刺さった。
静かだ。
風の音も、鳥の声もない。
自分の息だけが、白く広がる。
樹林を抜けると、視界が一気に開ける。
そこからが本番だ。
稜線の雪は風で削られて、クラストしている。
一歩ずつ、確認しながら登る。
頂上まで約4時間。
距離は片道5.5km。
体力よりも、寒さとの戦いだ。
でも、振り返るたびに阿寒湖が小さくなっていって、
それが妙に気持ちよかった。
雄阿寒岳山頂|白い世界に、湖が3つ並んでいた
山頂に着いたのは午前9時40分。
登り始めから約4時間10分。
風は強かった。
体感温度はおそらくマイナス20度を超えている。
それでも、立ち尽くした。
眼下に阿寒湖。
その奥に、パンケトーとペンケトーが続く。
湖が3つ、横に並んでいる。
こんな構図、地図で見てもわからない。
上から見て初めてわかる配置だ。
空は雲一つない。
遠くに釧路湿原らしき平野も見える。
晴れた冬の北海道は、透明度が違う。
空気に余計なものが何もない。
山頂に留まれたのは15分ほど。
指先の感覚がなくなってきた。
写真を撮って、行動食を一口食べて、すぐ下山した。
それでいい景色だ。
15分で十分すぎた。
阿寒湖温泉|登山後の湯は、罪悪感がない
下山したのは午後1時すぎ。
駐車場に戻ると、足がガクガクしている。
阿寒湖温泉の日帰り入浴は、複数の宿が受け付けている。
御前水という源泉かけ流しの宿が、
入浴料800円で入れた。
湯船に浸かった瞬間、全身の力が抜けた。
指先がじんじんする。
それが、生きてる感じがして悪くない。
温泉街は小さい。
コンビニはない。
阿寒湖アイヌシアターイコロで夕方から民族舞踊が見られる。
入場料1,500円。
山を下りた後、温泉に入って、アイヌの踊りを見て、
地元の居酒屋で鹿肉を食べる。
そういう1日の締め方が、ここには自然にある。
観光地っぽくないのに、全部ちゃんと揃っている。
そのバランスが、阿寒湖の好きなところだ。
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雄阿寒岳への行き方
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