札幌から車で2時間ちょっと。 国道沿いにぽつんと現れる、小さな看板。 黒松内温泉は、派手さが何もない。 でも、湯に浸かった瞬間にわかる。 ここに来るために、長い道を走ってきたんだと。 冬の積雪の中、湯気だけが白く立ち上がっている。
黒松内温泉のおすすめスポット
黒松内温泉ぶなの森|雪の中で、からだの力が抜けていく
到着したのは夕方4時すぎ。
外は−5℃で、雪がしんしんと降っている。
建物は大きくない。
地元の人が普段使いで来る、そういう温泉だ。
入浴料は600円。
タオルは200円で買える。
湯は透明でやや塩気がある。
ナトリウム塩化物泉というやつで、温まりが深い。
浴槽のすぐ外は、雪景色。
露天に出ると、シーンと静まり返っている。
鳥の声も、車の音も、何もない。
ただ、湯気と雪だけがある。
10分浸かって、外の冷気を吸って、また湯に戻る。
それを3回くり返した。
こんなにゆっくり時間が流れる場所は、久しぶりだ。
地元のおじさんが「今日は空いてるな」と言っている。
平日の夕方は、こんなものらしい。
そのくらいがちょうどいい。
黒松内の街歩き|ブナ林と静けさの中を、ただ歩く
黒松内は「ブナ北限の里」と呼ばれている。
日本のブナ自生の北の限界が、ここにある。
温泉から車で5分ほど走ると、ブナ林の遊歩道がある。
冬は積雪があるので、長靴必須だ。
足を踏み出すたびに、雪がきゅっと鳴る。
その音だけが響く。
ブナの木は、夏に来ると全然違う顔を見せるらしい。
でも冬の裸木も悪くない。
枝の形がはっきり見えて、空が広い。
街の中心部は、コンビニが1軒とスーパーが1軒。
それくらいのサイズ感だ。
道の駅「くろまつない」では、地元の野菜や加工品が並ぶ。
チーズ工房のものが特においしかった。
黒松内はチーズも有名で、道の駅で試食できる。
1個350円のカマンベールを買って、車の中で食べた。
うまかった。
冬の黒松内の夜|誰もいない、あの静けさのこと
宿に戻ったのは夜8時。
外はもう完全な暗闇で、街灯がぽつぽつあるだけ。
星が出ている。
見上げたら、息をのんだ。
都市部では絶対に見えない数の星が、べたっと広がっている。
オリオン座がやたら大きかった。
気温は−8℃まで下がっていたので、2分で鼻の奥が痛くなった。
でも、しばらくそこに立ち続けた。
翌朝は6時半に起きて、もう一度温泉へ。
朝の一番風呂は最高だ。
誰もいない浴場で、40℃の湯に肩まで沈む。
窓の外、雪がまた降り始めている。
こういう場所を「地味だ」と言う人もいる。
でも、地味なのが正解だ。
ここには、何もないことの豊かさがある。
帰り道の車の中で、そんなことを考えた。
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黒松内温泉への行き方
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