城下町の路地に、幕末の空気がまだ残っている。 萩は、壊れなかった町だ。 明治以降も大規模な開発を免れたおかげで、 武家屋敷の白壁と夏みかんの黄色が、今もそこにある。 新幹線の駅からバスで約40分。 わざわざ行く距離感が、この町をちょうどよく守っている。
萩のおすすめスポット
萩城跡|石垣だけが残る場所に、なぜか長居してしまう
天守はない。
焼けたのでも崩れたのでもなく、明治7年に自ら壊した。
その事実を知ってから見ると、石垣の重さが変わって見える。
指月山を背に、日本海に三方を囲まれた立地。
天然の要害という言葉を、ここで初めて実感した。
入場料は220円。
この値段で、海風に吹かれながら石垣に触れられる。
観光客は思ったより少なく、静かだ。
桜の時期は別らしい。
地元のおじさんが「4月初旬は別世界になる」と教えてくれた。
城跡から海を見ると、防府や周防の島々が見える日もある。
晴れた午前中に来てよかった。
夕方は逆光で石垣の表情が消えてしまう。
松陰神社|吉田松陰の「本気」が、ここには詰まっている
松下村塾は思ったより小さかった。
8畳と10畳、合わせて18畳の空間。
ここから伊藤博文が出て、山県有朋が出た。
建物の前で立ち止まって、しばらく動けない。
広さじゃない、とわかった気がした。
松陰が教えたのはわずか2年半。
29歳で処刑されている。
境内にある「至誠館」では松陰の書や手紙を展示していて、
その字の密度に驚く。
書くことが、考えることだったんだ。
神社自体は参拝無料。
宝物殿は600円だ。
観光バスが来る前の朝8時台が、ここは正解だ。
人が少ないと、静かに向き合える。
境内の土産店で買った「松陰せんべい」は、素朴でおいしかった。
菊屋家住宅|300年前の商家が、今も「現役」だ
萩藩の御用商人だった菊屋家。
江戸時代初期に建てられた主屋が、今も残っている。
入口をくぐると、土間が広い。
天井が高くて、夏でも涼しかった。
見学料は650円。
国の重要文化財に指定されているが、説明パネルが少ない分、
余計なものが目に入らなくてよかった。
一番印象に残ったのは蔵の中の什器類だ。
漆塗りの膳、古い帳簿、薬箪笥。
生活の積み重ねが、そのまま置いてある感じ。
博物館じゃなくて、家なんだ。
庭に夏みかんの木があって、黄色い実が下がっている。
萩の城下町エリアを歩くと、どこにでもこの木がある。
地元の人が言うには、廃藩後に収入を失った武士が植え始めたのだと。
ひとつの話が、町全体の風景につながった。
秋吉台|カルスト台地の「異質さ」は、写真では伝わらない
萩市街から車で約40分。
秋吉台に着いた瞬間、景色が変わった。
白い石灰岩の塊が、草原の中に無数に突き刺さっている。
日本じゃないみたいだ。
実際、初めて来る人のほとんどが「想像と違った」と言うらしい。
展望台に上ると360度カルスト台地が広がる。
晴れた日の午後、光が石灰岩に反射してまぶしかった。
台地の下には秋芳洞がある。
全長約10km、観光エリアは約1kmを歩く。
洞内の気温は17度で、夏は上着がいる。
これを知らずに行くと、Tシャツ一枚で震える羽目になる。
入洞料は1,300円。
洞内は混む。
人が少ない平日の開洞直後がよかった。
「百枚皿」と呼ばれる石灰棚の前で、15分くらい立ち尽くした。
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萩への行き方
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