山口市の中心に、ひっそりと湯煙が立つ。 派手な歓楽街じゃない。 静かで、ちょっと渋くて、詩人が生まれた街。 冬の湯田温泉は、空気まで違う気がした。 白い狐が湯を守るという伝説を、笑えなくなるくらい、この街には何かが漂っている。
湯田温泉のおすすめスポット
瑠璃光寺|国宝の塔が、朝霧の中に浮かんでいた
早朝7時に着いた。
観光客はまだ誰もいない。
五重塔が、霧の中にすっと立っている。
高さ31.2メートル。
室町時代の建立で、日本三名塔のひとつとされている。
そういう知識より、目の前の景色の方がずっと強かった。
池に逆さに映る塔の姿が、現実なのか絵なのかわからなくなる。
冬の朝は光が低くて、石畳に差し込む角度が絶妙だ。
思わず立ち止まって、15分くらい動けない。
拝観料は無料。
ただ静かに立って、眺めるだけでいい。
それで十分すぎる場所だ。
境内の香川家墓所も見逃さないで。
大内氏ゆかりの歴史が、静かに重なっている。
中原中也記念館|26歳で死んだ詩人の、息づかいが残る場所
湯田温泉で生まれた詩人、中原中也。
享年30歳。
その短い人生の痕跡が、こじんまりした記念館に収められている。
入館料は310円。
安すぎるとすら思った。
手書きの詩稿が展示されている。
文字に力があった。
インクの濃さまで、感情が残っている感じがする。
「汚れつちまつた悲しみに」の直筆は、本当に別物だ。
教科書で読む活字とは、全然違う。
館内は静かで、来館者もまばら。
学芸員さんに話しかけたら、中也の地元エピソードをいくつか教えてくれた。
外に出ると、生家跡の碑がある。
温泉街の真ん中に、詩人は生きている。
その事実だけで、この街の見え方が変わった。
白狐の湯|無料の足湯で、旅の疲れがほどけていく
湯田温泉の源泉温度は73度。
かなり熱い。
白狐の湯は、温泉街の中心にある無料の足湯施設。
24時間開放されている。
深夜に入ったら、貸し切りだ。
白狐の伝説はこうだ。
傷ついた白い狐が、夜な夜な池で傷を癒している。
それが温泉の発見につながったという。
伝説だとわかっていても、夜の湯田温泉では妙にリアルに感じる。
静かで、街灯の光が湯煙に溶けて、少し幻想的な空気がある。
足をつけると、最初は熱い。
1分もすれば慣れる。
冬の冷えた体に、じわじわ温かさが広がっていく。
ただの足湯なのに、20分以上いた。
ぼーっとしていたら、旅の疲れが全部溶けていった気がした。
無料でこれだけ気持ちいいなら、温泉宿の湯船はどれほどか。
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湯田温泉への行き方
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