雪が降り積もった白山を、いつか歩いてみたかった。 標高2,702m。日本三霊山のひとつ。 その言葉よりも、実際に立ったときの静けさが、ずっと頭に残っている。 冬の白山は、人が少ない。 だから余計に、山と自分だけになる瞬間がある。 それが、ここに来る理由だ。
白山のおすすめスポット
白山室堂|雪の中に、山小屋の灯りがあった
標高2,450m。
白山室堂に着いたのは、午後1時を過ぎた頃だ。
冬季は通常ルートが閉鎖される。
だから雪山装備で、別山尾根から入った。
アイゼンの音だけが、ずっと続いた。
小屋が見えた瞬間、思わず立ち止まった。
純白の雪原の中に、茶色い屋根だけが見えている。
映画のセットみたいだ。
室堂センターは夏季のみ営業だが、冬はビジターセンターの外観と、その圧倒的な雪景色だけでもう十分だ。
山頂の御前峰まではここからさらに約1時間。
風が強い日は、視界がゼロになる。
その日は運よく晴れている。
山頂から見下ろした雲海は、言葉にならない。
ただ、長い時間そこに立っている。
来るのに3時間かかった。
それが全部、消えた。
白山比咩神社|参道の空気が、別物だ
「ひめ」じゃなくて「ひめ」と読む。
正式には「しらやまひめじんじゃ」。
全国2,700社以上の白山神社の総本宮だ。
冬に訪れると、参道の杉並木に雪が積もっている。
人もほとんどいない。
その静けさが、異様なほどだ。
拝殿まで歩いて約5分。
たった5分なのに、別の時間軸に入ったような感覚がある。
御神木の杉は、樹齢数百年とも言われている。
見上げると、てっぺんが雪で霞んでいた。
御朱印は500円。
冬でも社務所は開いている。午前9時から午後4時まで。
帰り際、鳥居の前で振り返った。
雪の参道が、まっすぐ奥まで続いている。
こういう景色は、夏には撮れない。
冬に来てよかったと、そのとき思った。
白峰温泉|全身で、山の疲れを流した
白峰の集落に入ると、空気が変わった。
重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に選定されている。
江戸時代の面影が残る、石造りの街並みだ。
その中心にあるのが「白峰温泉 総湯」。
料金は500円。シャンプーは持参が必要だ。
泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。
ぬるっとした湯で、入った瞬間に肌がやわらかくなる感じがした。
内湯だけのシンプルな造り。
窓の外に、雪が積もった屋根が見える。
登山の帰りに寄ったので、足がもう限界だ。
湯船に浸かって、声が出た。
思わず笑ってしまうくらい、気持ちよかった。
営業時間は午前7時から午後9時まで。
冬の夕方、ほぼ貸し切り状態で入れた。
これは冬の特権だ。
上がったあとのコーヒー牛乳が、200円だ。