新幹線で新山口を降り、在来線に乗り換えて20分。 防府という町に初めて降り立ったとき、思ったより静かだ。 梅の香りと、潮のにおいが混じっている。 ここは、歴史がまだ生きている町だと、すぐにわかった。
防府のおすすめスポット
防府天満宮|1100年前の梅の木が、今も咲いている
日本最古の天満宮のひとつ、と聞いている。
正直、どこも「日本最古」と言うじゃないか、。
でも、石段を上がって振り返ったとき、息を飲んだ。
眼下に防府の町が広がり、その先に瀬戸内の海が光っている。
ここに菅原道真が流された場所を、人々が1100年以上守り続けている。
そう思ったら、急に石段の重さが変わった気がした。
境内の梅は2月上旬から咲き始める。
見頃は2月中旬から3月上旬。
梅まつりの時期は参道に露店が並んで、老若男女で賑わう。
それ以外の時期は人が少なく、静かに歩ける。
本殿の金色の装飾は、近くで見るとため息が出るほど細かい。
造営は1700年代。
その彫刻に、知らず知らず30分ほど見入っている。
毛利博物館|大名の庭に、ひとりで立っている
毛利家の屋敷がそのまま博物館になっている。
入館料1000円を払って門をくぐると、急に時代が変わる感覚がした。
庭園は国の名勝に指定されている。
訪れたのは平日の午後2時頃。
観光客は数人しかいない。
その静けさが、かえって本物っぽかった。
館内には毛利家に伝わる甲冑、書状、茶道具が並ぶ。
関ヶ原の戦いで使われた具足を、ガラス越しに見た。
教科書で読んだあの戦いが、急にリアルになった。
敷地内の庭を一周するのに30分ほど。
池の鯉はどこか図々しいほど人慣れしていて、思わず笑った。
秋の紅葉シーズンは特別公開があり、普段は入れない部屋も開放される。
そのタイミングを狙うのが、知る人ぞ知る正解だ。
三田尻塩田跡|広すぎて、ちょっと途方に暮れた
塩田跡、と聞いてもピンとこない。
行ってみて、その広さに黙った。
江戸時代から明治・昭和にかけて、防府の三田尻は瀬戸内でも屈指の塩の産地だ。
最盛期には400ヘクタール以上の塩田が広がっていたという。
今は住宅地や工場になっている場所も多いが、一部に跡地が残る。
塩田跡に立つと、風がやたら通る。
遮るものが何もない。
ここで何千人もの人が塩を作り、生活していたのか、と想像した。
うまく想像できなかったが、それでも立ちたかった。
近くの「塩業記念館」は入館無料。
塩づくりの道具や写真が展示されていて、30分あれば十分まわれる。
地元の年配の方が丁寧に説明してくださった。
そういう出会いが、旅の記憶をつくる。
観光地らしさは皆無。
だからこそ、来てよかった。