夜景を見るために、山に登る。 朝市でイカを食べるために、早起きする。 函館はそういう街だ。 目的がはっきりしていて、全部が本物だ。 港町の塩の匂い、石畳の坂、洋館の窓から差し込む光。 どこを切り取っても絵になるのに、気取った雰囲気がまるでない。 それが函館の、いちばんの正体だ。
函館のおすすめスポット
函館山夜景|夜8時、100万ドルは本当に存在した
ロープウェイは往復1800円。
山麓駅から3分で山頂に着く。
扉が開いた瞬間、声が出ない。
左右に広がる海峡と、中央にくびれた市街地。
夜景がまるで砂時計の形をしている。
「100万ドルの夜景」という言葉、何度も聞いて少し構えている。
でも実際に見たら、大げさじゃないと分かった。
混雑のピークは日没直後の18時〜19時台。
山頂の展望台は人でぎゅうぎゅうになる。
20時を過ぎると少し空いてくる。
そのタイミングを狙って、柵の正面に立った。
風が強くて寒かった。
11月は体感マイナスに近い。
薄手のコートで来たことを後悔した。
防寒具は必須だ。
函館朝市|朝6時、海鮮丼と目が合う
朝6時に宿を出た。
空気が刺さるように冷たい。
函館駅から徒歩5分、朝市はもう動いている。
海鮮丼の相場は1500円〜3000円ほど。
店によって値段も盛り方もぜんぜん違う。
いくつかのお店を見て回って、一番活気のある店に入った。
いくら・うに・ほたて・いか。
丼の上に全部乗ってて、箸を入れる場所を探した。
イカは活け造りで食べられる店もある。
透き通った身が皿の上で動いていて、少し怯んだ。
でも食べたら甘かった。
函館のイカは本当に甘い。
市場の中には「どんぶり横丁市場」がある。
20軒ほどの食堂が並んでいて、迷う楽しさがある。
観光客も地元の人も、同じ空間でご飯を食べている。
その混在した感じが、朝市らしかった。
金森赤レンガ倉庫|港に残った、本物の産業遺産
1909年築。
100年以上前に建てられた倉庫が、今もそこにある。
レンガの赤が、曇り空の港によく映えた。
観光施設になっているけれど、建物の空気は本物だ。
内部はショップやレストランになっていて、歩くだけで1時間以上過ごせる。
お土産を買うならここが揃っている。
北海道のチーズ、函館限定のスイーツ、昆布製品。
試食も多くて、気づいたら両手がふさがっている。
夜になるとライトアップされる。
レンガと光が海面に反射して、昼とは全然違う顔になる。
昼夜2回来て、正解だ。
近くに「西波止場」もあって、港を眺めながら歩ける。
風が強い日は体ごと持っていかれそうになるけれど。
その荒々しさも含めて、港町らしい。
元町異人館|坂の途中で、時代が止まっている
石畳の坂を上る。
足が痛くなってきた頃、洋館が現れる。
元町エリアは、19世紀に外国人居留地だった場所だ。
ロシア領事館、旧英国領事館、ハリストス正教会。
それが今もそのまま残っている。
旧英国領事館の入館料は300円。
建物の中に入ると、100年前の執務室が再現されている。
当時の領事の手紙や写真も展示されていて、ここが本当に機能していた場所だと分かった。
ハリストス正教会の鐘は、時間になると鳴る。
白い外壁と緑の屋根。
坂の途中で突然鐘が響いて、思わず立ち止まった。
夜に歩くのもおすすめだ。
街灯に照らされた石畳と洋館は、昼とは全然違う。
異国にいるような、時代がずれているような。
そんな不思議な感覚があった。