岡山市内から車で1時間ちょっと。 そんな距離に、こんなに静かな場所があるとは思っていない。 井原は派手じゃない。 でも、着いた瞬間に「ああ、来てよかった」と思う場所だ。 歴史と生活が、まだ地続きで残っている。 それが、井原の一番の魅力だ。
井原のおすすめスポット
八塔寺ふるさと村|霧の中に、江戸時代がそのまま残っている
標高約550m。
備前市との境に近い山の中に、その集落はある。
茅葺き屋根の民家が点在していて、
農道を歩いていると、本当にタイムスリップしたような感覚になる。
ここは江戸時代の景観をほぼそのままの形で守ってきた地区だ。
訪れたのは11月の朝9時ごろ。
霧がまだ残っていて、集落全体がうっすら白くかすんでいた。
思わず足が止まった。
カメラを向ける手が震えたのは、寒さだけじゃない。
棚田も残っている。
耕されている区画と、荒れた区画が混在していて、
そのリアルさがかえって心に刺さった。
きれいに整備されすぎた「昔の村」じゃないから、
本物の重さがある。
売店や食事処はほぼない。
飲み物と軽食は持参したほうがいい。
そのぶん、静けさが完全に手に入る。
芳井町|何もなさそうで、何かがある町
井原市の南東に位置する芳井町。
2006年に合併するまで独立した町だったこともあり、
今も独自の空気感が残っている。
町の中心を小田川が流れていて、
その沿いを歩くだけで30分くらい経っている。
特筆すべきは「大正モダン」が残る商家群だ。
昭和初期に建てられた建物がそのまま使われていたり、
空き家になっていたりしながら、通り沿いに並んでいる。
観光地化されていないのに、なぜかドラマのセットみたいに絵になる。
地元の人に話しかけると、すごく気さくだ。
「最近は若い人も戻ってきてるんよ」と話してくれたおじさんの言葉が印象に残っている。
近くの「芳井歴史民俗資料館」は入館無料。
農具や生活道具がぎっしり展示されていて、
スタッフが丁寧に説明してくれた。
滞在は1時間ほどだったけど、もっといられる場所だ。
井原デニム|ジーンズの聖地、と呼ばれる理由がわかった
井原は国産デニムの産地として有名だ。
「井原デニム」というブランドが、それを象徴している。
工場見学や直売所を巡れる施設「井原デニムストリート」に行ってみた。
正直、ファッションにそこまで興味があるわけじゃない。
それでも、職人の話を聞いていたら引き込まれた。
「一本のジーンズを作るのに、何十もの工程がある」
そう説明してもらいながら見た生地の青は、
ただのデニム色じゃなく見えてきた。
直売店では1万円台から本格的なジーンズが買える。
試着してみると、市販の既製品とは明らかに馴染み方が違う。
一緒に行った友人が即決で買っている。
気持ちはわかった。
デニムだけじゃなく、バッグやポーチなどの小物も多い。
2,000〜3,000円台から選べるので、
お土産としてもちょうどいい。
観光と買い物が同時にできる、珍しいスポットだ。