忍者の里、と聞いてどこか子ども向けのイメージを持っている。 でも実際に行ったら、全然違った。 石垣の上に白い天守が浮かんで、古い城下町の路地が続いて、松尾芭蕉が生まれた町だと知って。 伊賀上野は、思ったよりずっと深い場所だ。
伊賀上野のおすすめスポット
伊賀流忍者博物館|手裏剣を投げて、初めて忍者が怖くなった
入館料は大人800円。
そこまで高くないし、軽い気持ちで入った。
まず案内されたのは、からくり屋敷。
ガイドの忍者装束のおじさんが、床板をズラして隠し部屋を見せてくれる。
「ここに潜んでたんです」と言われた瞬間、鳥肌が立った。
観光っぽい演出かと思っていたら、全然そんなことはない。
本物の忍者屋敷を移築したもので、仕掛けが本当に精巧だ。
隣の資料館には、実際に使われた武器や薬の調合法が並ぶ。
毒の調達先まで書いてあって、少し引いた。
手裏剣投げ体験は1回500円。
5枚投げて、1枚も刺さらない。
忍者は相当な訓練を積んでいたんだと、身をもって理解した。
笑い話のようで、これが一番リアルな体験だっただ。
伊賀上野城|高さ30メートルの石垣の上で、風が強かった
伊賀上野城の石垣は、日本一高い石垣のひとつだと言われている。
高さは約30メートル。
下から見上げると、天守が遠い。
築城したのは藤堂高虎。
大坂城を意識して建てたと言われていて、確かに威圧感がある。
でも実際に上ってみると、天守自体は小ぶりで、なんだか親しみやすかった。
入場料は600円。
3層の天守を上がると、伊賀盆地が一望できる。
晴れた日は鈴鹿山脈まで見える。
天守内には甲冑が展示されていて、実際に着る体験もある。
一人でぼーっと展示を見ていたら、地元のおじいさんに声をかけられた。
「昔はもっと何もなかったよ」と笑っている。
城の周囲は公園になっていて、散歩している人たちがいた。
観光地というより、地元の日常の中に城がある。
そういう場所が、好きだ。
芭蕉翁記念館|俳句を知らなくても、ここは来てよかった
正直に言うと、俳句にはあまり詳しくない。
芭蕉の句も「古池や」くらいしか知らない。
それでも記念館に入ってよかった。
松尾芭蕉は伊賀上野の出身で、この町で生まれ、旅に出て、句を残した。
記念館には直筆の短冊や、旅の足跡が展示されている。
入館料は300円。
驚いたのは、展示のボリュームよりも、立地だ。
城の近く、静かな一角にぽつんと建っている。
中に入ると、ひんやりとした空気。
観光客もほとんどいなくて、館内は静かだ。
芭蕉の句碑が庭に立っていて、しばらく読んでいた。
「この道や行く人なしに秋の暮れ」
旅を続けた人の言葉は、場所で読むと重さが違う。
伊賀上野という町自体が、芭蕉を育てた環境なのだ。
城下町の静けさと、どこかへ出たくなる感覚。
それが句に滲んでいる気がした。