湯けむりが漂う細い路地を歩くと、 どこからともなく野沢菜の漬物の匂いがしてくる。 標高600m超の山あいの温泉地。 派手さは何もない。 でも、一度来ると妙に恋しくなる場所がある。 野沢温泉はそういう村だ。
野沢菜の里・野沢温泉のおすすめスポット
麻釜(おがま)|98℃の源泉が、地面から当たり前に湧いている
村の中心部に、突然それはある。
フェンス越しに見下ろすと、
白い湯気がもくもくと立ち上っている。
温度は約98℃。
触ったら大やけどをする。
それが公道のすぐ脇にある。
驚いたのは、地元のおばあちゃんが
野沢菜をバケツごとここに漬けていたこと。
「何年もこうしてるよ」と笑っている。
ここは観光用に整備された場所じゃない。
今も村の台所として現役で使われている生活の場だ。
タコやトウモロコシを茹でる観光客もいるけれど、
しばらく眺めているだけで十分だ。
地面からこれだけの熱が湧き出している。
それだけで、この土地の力を感じた。
朝7時頃に行くと、地元の人の姿が多くて
旅情がある。夕方は観光客が増えてくる。
大湯(外湯)|朝6時、誰もいない湯船で目が覚める
野沢温泉には外湯が13か所ある。
全部タダで入れる。
それが信じられない。
中でも大湯は村のシンボル的な存在で、
木造の建物が格好いい。
朝6時に向かった。
脱衣所に地元のじいちゃんが1人いただけで、
ほぼ貸し切りだ。
湯船が2つあって、
「あつ湯」と「ぬる湯」に分かれている。
あつ湯に足を入れた瞬間、声が出た。
体感で45℃以上はある。
ぬる湯でさえ、42〜43℃くらい。
どちらも本気の熱さだ。
10分も浸かると、皮膚がじんじんしてくる。
外に出ると、真冬の空気が気持ちよかった。
石鹸やシャンプーは使えない。
手ぶらで行って、湯だけに向き合う。
そのシンプルさが、ここの正解だ。
地元の人の入浴マナーを崩さないよう、
静かに入るのが礼儀だ。
野沢温泉スキー場|ゲレンデの上から、温泉の湯けむりが見える
標高1,650m。
日本有数の積雪量を誇るゲレンデだ。
頂上からの眺めが、思っていたより全然よかった。
晴れた日は北アルプスが見渡せる。
そして眼下の村から白い煙が上がっているのが見える。
麻釜の湯けむりだ。
スキー場と温泉が、こんなにも近くにある場所は
そう多くないだ。
ゲレンデは初級から上級まで幅広くあって、
全43コース、リフト21本。
初心者でも迷わない動線で整備されている。
リフト1日券は大人5,200円(2024年シーズン実績)。
早朝割引や夕方の半額チケットもある。
そして何より、滑り終わった後がいい。
板を脱いで、ブーツのまま路地を歩いて、
外湯に直行できる。
疲れた体に熱い湯が染みる。
そのコースが野沢温泉の正解だ。
宿に戻って野沢菜をつまみに地酒を飲む。
完璧な1日だ。