阪急宝塚線に乗って、30分もかからない。 なのに、降りた瞬間に「ここ、知らなかった」。 池田は、大阪のすぐそばにある、ちょっと古くて、ちょっと誇り高い町だ。 ラーメンが生まれた場所で、城跡で風に当たって、蔵元で酒を買う。 そんな一日が、静かに待っている。
池田のおすすめスポット
インスタントラーメン発明記念館|あの袋の裏側に、こんな話があったのか
入館料は無料。
それを聞いて、正直なめている。
入ってすぐ、足が止まった。
床一面に並ぶ、世界中のカップ麺のパッケージ。
知ってるやつ、知らないやつ、読めない文字のやつ。
ただ並べてあるだけなのに、妙に圧倒される。
1958年、日清食品の創業者・安藤百福がここ池田の自宅の小屋で発明した。
その小屋が、実物大で再現されている。
小さくて、暗くて、ちょっとボロい。
こんな場所から、世界に広まったのかと思うと、なんか笑えてくる。
ハイライトは「チキンラーメンファクトリー」。
自分で麺を作る体験で、要予約・500円。
やってみると、麺を乾燥させる工程がこんなに手間だったのかと気づく。
カップヌードルのオリジナルカップを作る体験(300円)は当日参加できることも。
デコって、自分だけの一杯を作る。
大人でも普通に楽しい。
池田城跡公園|天守閣はない。でも、ここが一番よかった
城跡、と聞いてわくわくした。
着いたら、建物はない。
そりゃそうだ。「跡」だから。
でも、これが思いのほかよかった。
小高い丘の上に、きれいに整備された広場がある。
石垣の一部だけ残っていて、それが逆にリアルだ。
池田城は16世紀に廃城になった。
400年以上前の石が、今もここにある。
5月のウォールフラワーの季節に行ったのだが、正解だ。
黄色とオレンジの花が斜面を埋め尽くして、
その向こうに街が見える。
ベンチに座って、風を浴びていたら20分経っている。
入場料は無料。
開園は9時から17時まで。
混雑とは無縁の場所で、修学旅行生もいない。
ただ静かに、景色の中にいられる。
記念館からも歩いて10分かからない。
ここでしっかり一息ついてから、次に向かうのがいい。
呉春|駅から歩いて5分。ちゃんとした酒蔵が、町にある
呉春という名前を知ったのは、旅の前日だ。
「灘でも伏見でもない、池田に酒蔵があるらしい」という話を聞いて。
創業は1781年。
江戸時代から続いている。
外観は、思ったより地味だ。
派手な看板もなく、観光地っぽさもない。
でも、それがいい。
本物の蔵元は、観光客に媚びない。
直売所が敷地内にある。
代表銘柄「呉春」の本丸、池田、普通酒が並んでいた。
「本丸」は芳醇な甘口で、1合瓶で買って帰った。
250円前後。
見学は基本的に予約制で、常時開放はしていない。
ただ、直売所に立ち寄るだけでも価値がある。
スタッフの方に「どれがおすすめですか」と聞いたら、
丁寧に季節の一本を教えてくれた。
池田は昔、「摂津の灘」と呼ばれた酒どころだ。
その記憶が、今もここだけ残っている。