瀬戸内海に浮かぶ小さな島が、 こんなに濃い歴史を持っているとは思わない。 村上水軍が制した海。 石に刻まれた五百の顔。 そして、あのはっさくがここから始まった。 因島は、知れば知るほど、もう一度来たくなる島だ。
フェリーの船上で塩辛い空気を吸い込む。因島へ着くと、戦国の島が息づいている。因島水軍城の天守閣から見下ろせば、瀬戸内海の海賊たちが駆け回った時代が蘇る。白滝山五百羅漢では、岩肌に刻まれた仏の表情が、五百年の時間を耐え抜いてきた。橙色に輝くはっさくは、ここが発祥地。甘酸っぱい香りが、島全体に満ちている。一玉を皮ごと齧れば、柑橘の果汁が頬を濡らし、南の島へ来たことが身体で証明される。石造りの城跡と羅漢像に守られた、そんな島。
因島のおすすめスポット
因島水軍城|海賊の末裔たちが、ここで空を見ている
「海賊」という言葉が、妙にリアルに感じられた場所だ。
因島水軍城は、山の上にある。
駐車場から歩いて10分ほど。
急な石段を上ると、小ぶりな白い城が現れた。
入館料は大人310円。
中は展示室になっていて、村上水軍にまつわる甲冑や古文書が並ぶ。
正直、建物自体は再現されたものだ。
でも、天守から眺める瀬戸内の景色に息を飲んだ。
島と島の間を縫うように船が通る。
あの海を、村上水軍は自分たちの庭として持っている。
案内板をぼんやり読んでいたおじさんが、
「ここの子孫が今も因島にいるんよ」と教えてくれた。
歴史が、まだ生きている島だ。
白滝山五百羅漢|石の顔が、500体、山の中にいた
地図で見ると、白滝山は小さな山だ。
でも、登り始めてすぐに気づく。
ここは、ただの山じゃない。
登山道の至るところに、石像が現れる。
500体以上の羅漢像が、斜面にひしめいている。
全部、江戸時代に一人の僧が彫らせたものだという。
ひとつひとつ表情が違う。
笑っているもの、目をつぶっているもの、
どこか遠くを見ているもの。
苔に覆われたものもあって、長い時間を感じた。
頂上まで約40分。
そこからの眺めが、またすごかった。
360度、瀬戸内の島々が広がる。
「なんでこんな山の中に」と思いながら登った。
でも着いたとき、なぜかここで正解だ。
不思議な静けさがある場所だ。
はっさく発祥の地|あの苦みは、ここで生まれた
はっさくが「因島生まれ」とは、なんとなく知っている。
でも、実際に発祥の地を訪ねたのは初めてだ。
重井町の浄土寺。
その境内に、樹齢150年以上のはっさくの原木がある。
幕末の頃、この寺の住職が境内で見つけた果実が起源とされている。
たった1本の木から、因島全体の名産品になった。
木の前に立つと、思いのほか大きかった。
今も実をつけるという。
近くの直売所で買ったはっさくは、1袋300円。
スーパーで買うものより、皮が薄くて果汁が多い気がした。
あの独特の苦みと酸みが好きで、毎年買っている。
その原点がここにあるというのは、
食べるたびに思い出しそうだ。
旬は1月から3月ごろ。
時期を合わせて来る価値は十分ある。
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因島への行き方
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