東海道新幹線で通り過ぎるだけだった街、掛川。 ふと降りてみたら、想像の3倍は濃かった。 天守閣、広大な緑、里山の空気。 「ちょっと寄る」には惜しすぎる場所だ。
掛川城は、2008年に天守が再建された。その際に使われた木材の香りは、まだ新しい歴史の匂いがしている。だが城下町は古く、江戸時代の町並みが、そっと息づいている。ヤマハリゾートつま恋は高原にあり、掛川の市街地からは、別の時間が流れているような場所だ。大東きらりの里では、茶畑が丘陵をうねるように覆い尽くしている。この地方のお茶は日本有数であり、朝の光の中で茶摘み女たちが動く風景は、今も変わらない。掛川とは、新しく作られた歴史と、古い土地の呼吸が同居する街である。
掛川のおすすめスポット
掛川城|石垣の上に、本物の時間が残っている
駅から歩いて10分かからない。
それなのに、城下町の雰囲気がじわじわ迫ってくる。
掛川城は1994年に復元された木造天守だ。
コンクリート製の「なんちゃって城」とは全然違う。
階段を上るたびに、足元がギシッと鳴る。
その音が妙にうれしかった。
最上階から見える景色は、ちょっと予想外だ。
茶畑と街と、遠くに海。
静岡ってこういう県なんだ、と体で理解した瞬間だ。
入場料は大人410円。
これで天守と御殿の両方に入れる。
御殿は現存する数少ない城郭御殿のひとつで、むしろこっちのほうが見応えがある。
畳の間を素足で歩く感覚、なんとも言えない。
混雑は少なめ。
平日の午前中なら、ほぼ独占状態だ。
ヤマハリゾートつま恋|広すぎて、地図を見ながら迷った
「つま恋」と聞いてコンサートを思い浮かべた人は、たぶん40代以上だ。
いまは日帰りも泊まりも使えるリゾート施設として動いている。
敷地面積が約167ヘクタール。
数字を言われてもピンとこなかったが、実際に歩いたらわかった。
とにかく広い。
迷う。
地図を片手に歩いた。
アーチェリー、テニス、BBQ、サイクリング。
やれることが多すぎて、逆に困った。
とりあえずサイクリングを選んで、風の中を走った。
新緑の季節だったこともあって、ずっと緑の中にいた。
ランチはレストランで食べた。
静岡の食材を使ったメニューが並んでいて、桜えびのパスタを頼んだ。
これが思いのほかよかった。
ここは「半日以上」の覚悟で来たほうがいい。
2〜3時間じゃとても足りない場所だ。
大東きらりの里|里山って、こんなに静かなのか
正直、最初はあまり期待していない。
「体験型農業施設」という言葉が、どこか観光地感を漂わせていたから。
行ってみたら、全然違った。
掛川市の東部、大東地区にある施設だ。
茶畑が広がる丘の上に、ぽつんとある感じ。
観光バスは来ない。
地元の人と、ちょっと調べてきた旅行者だけがいる。
手摘み茶体験をやってみた。
1時間ほどの体験で、自分で摘んだ茶葉を持って帰れる。
お茶の葉を摘むのは、想像以上に集中力がいる作業だ。
無心になれた。
それより印象に残ったのは、景色だ。
茶畑の緑と、遠くに見える山。
風が通るたびに、葉の色が変わって見える。
写真より、目で見たほうが断然きれいな景色だ。
ここは「通りすがり」では来られない場所だ。
目的にして、ちゃんと来る価値がある。
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