バスを降りた瞬間、空気が違う。 ひんやりと、少し湿っていて、木の匂いがする。 標高1500メートルの盆地。 車が入れない場所だからこそ、守られている静けさがある。 紅葉の季節は山が燃えるように赤くなり、冬は霧の中に世界が消えていく。 何度来ても、毎回「また来たい」と思わせる場所だ。
上高地のおすすめスポット
河童橋|橋の上で、穂高連峰が目の前に現れる
バスターミナルから歩いて約5分。
突然、視界が開ける。
梓川の青さが、まず目に飛び込んでくる。
そして橋の上に立つと、正面に穂高連峰がどんと構えている。
標高3000メートル超の山々が、こんなに近い。
思わず声が出た。
秋は10月上旬〜中旬がピーク。
橋のたもとの木々が黄金色に染まり、川面に反射してきれいだ。
冬は観光客が激減する。
1月2月の早朝、霧が川に漂い、誰もいない橋に立つ時間は別格だ。
息が白くなる寒さの中で、山だけが静かにそこにある。
橋の近くに売店があって、名物の五平餅(450円)が食べられる。
焼きたてをほおばりながら、川岸のベンチで休む。
それだけで、十分だと思えてくる。
大正池|動かない水面に、山が映り込む朝
大正池には、朝一番に行くべきだ。
上高地バスターミナルより手前のバス停「大正池」で降りる。
早朝6時台に到着すると、ほとんど人がいない。
池の水面がほぼ鏡になっている。
風がなければ、焼岳と穂高が逆さまに映る。
写真で見て知っていたのに、実物を前にして数分間動けない。
1915年、焼岳の噴火で梓川がせき止められて生まれた池。
まだ100年ちょっとの歴史しかない。
立ち枯れた木が水の中に立っていて、それがまた異様に美しい。
冬は池の一部が凍り、白い霧が水面を這う。
気温はマイナス10度近くになることもある。
防寒具は必ず、手袋も2枚重ねで行った。
バスターミナルまで梓川沿いを歩いて約40分。
途中の遊歩道が素晴らしい。
池だけ見て帰るのは、もったいない。
明神池|神域の空気が漂う、奥座敷
河童橋から明神池まで、片道約50分。
舗装されていない林道を歩く。
観光客が一気に減って、森の中に入っていく感覚がある。
穂高神社奥宮の境内に明神池はある。
拝観料500円を払って中に入る。
一の池、二の池と続いていて、水が透き通っている。
秋に行ったとき、水面に落ち葉が浮いている。
黄色と赤が水に映えて、絵みたいだ。
声を出すのが憚られるような静けさがある。
冬はここまで来る人がさらに少ない。
雪が積もった境内を歩いたとき、足音だけが聞こえる。
池が薄く凍っていて、その下に水草が見える。
明神池の前に「明神館」という山小屋がある。
ここで食べる山賊焼き定食(1,600円)がうまかった。
歩いてきた後の達成感も込みで、格別だ。
帰りは梓川対岸の道を歩くと、また景色が変わる。
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