京都と奈良の境、山深いその場所に 南山城という村がある。 観光地らしい賑やかさは、ここにはない。 あるのは茶畑と、ダム湖と、霧の中の高原。 それだけなのに、なぜか帰りたくなくなる。 そういう場所が、まだ日本に残っている。
南山城のおすすめスポット
童仙房高原|標高600m、霧の中に消えていく集落
国道から外れて、細い山道を20分ほど上る。
カーブを曲がるたびに視界が開けて、気がつくと雲の中にいた。
童仙房高原、標高約600m。
明治時代に開拓された入植地で、今も数十世帯が暮らしている。
茶畑が斜面に広がっている。
整然と並んだ茶の列が、霧にかすんでいく光景がすごかった。
写真を撮ったけど、あの空気感は画面には収まらない。
季節は5月がいい。
新茶の時期と霧が重なって、緑が異様なほど鮮やかになる。
観光施設は何もない。
トイレも自販機も、ほぼない。
それでも車を停めて、しばらく立ち尽くしてしまった。
静かすぎて、自分の呼吸が聞こえる。
そういう場所だ。
道の駅お茶の京都みなみやましろ村|産地で飲む一杯は、やっぱり違った
南山城村の中心部にある道の駅。
2017年にオープンして、村の食がひとつにまとまった場所になった。
ここに来て驚いたのが、茶へのこだわりの密度だ。
ただ売っているだけじゃなくて、村の農家ごとに茶が並んでいる。
同じ南山城産でも、畑が違えば味が全然違う。
飲み比べセットが800円くらいであって、3種類を順番に飲んだ。
軽食コーナーの「茶そば」が想像以上によかった。
茶の香りがしっかり麺に入っていて、820円。
ランチにちょうどいい量だ。
野菜の直売コーナーも充実している。
地元のおばあちゃんが持ってきたような、不揃いな野菜が並んでいる。
値段が安い。
朝9時から開いているので、高原に行く前に立ち寄るのがいい順番だ。
お土産はここで全部揃う。
高山ダム湖|誰もいない湖畔で、時間の感覚がなくなった
木津川の上流を堰き止めた高山ダム。
完成は1972年。
ダム湖の名前は「月ヶ瀬湖」という。
平日の午後に行ったら、釣り人が2人いるだけだ。
それ以外、誰もいない。
湖面が信じられないくらい静かで、対岸の山が逆さに映っている。
風が来るたびに、その鏡が揺れた。
紅葉は11月上旬から中旬が見頃だと地元の人に聞いた。
モミジとコナラが湖畔を囲んでいて、赤と橙が水面に落ちてくる。
その時期にもう一度来ようと、その場で決めた。
ダムの天端を歩けて、高さは約57m。
そこから見下ろすと足がすくんだ。
駐車場は無料。
トイレあり。
ベンチもある。
なのに人が来ない。
それがこの場所の本当のすごさだ。