山梨に来るたびに思う。 ここは「通過する場所」だと思われすぎている。 富士山へ向かう途中、温泉地への乗り換え。 でも甲府は、ちゃんと目的地になる街だ。 武田信玄が治めた城下町の空気。 斜面に広がるぶどう畑。 グラスに注がれる、土の匂いがするワイン。 一度ゆっくり歩いてみると、刺さるものが多すぎた。
甲府のおすすめスポット
武田神社|信玄が生きた土の上に、今も立っている
甲府駅からバスで約10分。
北口から乗れば300円ちょっとで着く。
鳥居をくぐった瞬間、空気が変わった。
境内に入るまでの参道が、やけに静かだ。
ここはもともと躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)の跡地だ。
武田信玄が暮らしていた場所、そのもの。
お城ではなく「館」だったというのが、信玄らしい気がした。
守るより、攻める。そういう人だったらしい。
宝物殿は入館料500円。
信玄の遺品や合戦の記録が並んでいた。
ガラスケースの中に、実際に使われた甲冑があった。
サイズが思ったより小さくて、なぜか胸が痛くなった。
境内の堀には今も水が張っている。
戦国時代から続く水路だという。
400年以上、ここに水が流れている。
それだけで、来た甲斐があった。
甲府城跡(舞鶴城公園)|街のど真ん中に、石垣が残っている
甲府駅を南口から出て、徒歩3分。
いきなり城跡がある。
駅から3分で石垣、というのは正直びっくりした。
甲府城は徳川家康が武田家滅亡後に整備した城だ。
信玄の城ではない、というのは意外と知られていない。
でも石垣の存在感は本物で、圧がある。
稲荷曲輪門(いなりくるわもん)をくぐって登っていくと、
天守台からの景色が開けた。
甲府の街が一望できる。
その向こうに南アルプス。
晴れた日は富士山も見える。
入場無料なのに、これが見られる。
公園内は地元の人の散歩コースにもなっている。
お弁当を食べているおじいさん、犬を連れた女性。
観光地というより、生活の場に近い。
そのゆるさが、むしろ心地よかった。
夜間ライトアップもやっている日があって、
石垣が闇に浮かび上がる様子は相当かっこいい。
昇仙峡|渓谷の奥に、別の時間が流れている
甲府駅からバスで約50分。
運賃は片道780円ほど。
終点の昇仙峡口で降りると、川沿いの遊歩道が始まる。
まず音に驚いた。
水の音が、ずっと聞こえている。
歩き始めると、左右から花崗岩の岩壁が迫ってきた。
高さ30メートル以上のものもある。
見上げると首が痛くなる。
ハイライトは仙娥滝(せんがたき)。
しぶきが顔にかかる距離まで近づける。
落差30メートル。
真夏でも空気がひんやりしている。
渓谷の入口付近には土産物屋が並んでいる。
水晶が名産で、原石から磨かれたアクセサリーまで揃っている。
2,000円ほどで買えるものもある。
山梨は水晶の産地で、ここで掘られていたと知った。
紅葉シーズンは11月上旬が見頃で、
岩肌と赤いもみじが重なる景色は、写真で見るより全然すごかった。
人は多い。でも、それでも来る価値がある場所だ。