山が深すぎて、空が狭い。 そう感じた瞬間、熊野に来たと実感した。 三重と和歌山の県境あたり、どこまでも続く森の中に、 この国の信仰の核心がある。 アクセスが不便なのは知っている。 それでも来たくなる理由が、ここには確かにあった。
熊野のおすすめスポット
熊野那智大社|石段を上りきった先で、息が止まった
467段。
その数を聞いたとき、正直なめている。
参道の入口に立つと、石段が霧の中に消えていく。
10月の那智、朝9時の気温は16度だ。
一段ずつ踏みしめながら上る。
苔が石を覆い、杉の香りが濃い。
観光地というより、修行の場だ。
上りきると、朱塗りの社殿が目に飛び込んでくる。
背後には那智の滝。
社殿と滝が同じ視界に収まる瞬間、
ここが「神の場所」と呼ばれる理由がわかった気がした。
お守りは600円から。
那智黒飴を売る茶店で一息つくのが、地元流らしい。
朝一番の9時台が断然いい。
観光バスが来る前の静けさが、別格だ。
那智の滝|133メートルの水が、音として体に当たる
那智の滝は、遠くから見るより近くで見ろ。
飛瀧神社の御滝拝所まで下りる。
入場料300円を払うと、滝まで約100メートルの距離に立てる。
その迫力は、写真で見たそれとまったく違った。
音が来る。水しぶきが来る。
冷気が空気ごと体を包む。
落差133メートル。
日本一の称号に偽りなし、と素直に思った。
10月の紅葉と組み合わさると、これが絶景以外の何物でもない。
滝の白、葉の赤、岩の黒。
その配色は誰にも計算できない。
三脚を持ったカメラマンが数人、陣取っている。
気持ちはわかる。
ただ、ファインダー越しじゃなく、
まず肉眼で見てほしいと強く思う。
御神水として滝の水が売られている(500円)。
飲んだら、妙にすっきりした。気のせいだ。
瀞峡|ここだけ時間が止まっている
熊野に来て瀞峡を外すのは、もったいなさすぎる。
三重・奈良・和歌山の三県にまたがる渓谷。
ウォータージェット船に乗ると、そのスケールが体でわかる。
出発は三重県の瀞峡ウォータージェット乗り場から。
片道約50分、料金は大人2,200円。
切り立った岩壁が両側に迫ってくる。
水の色がおかしい。
緑とも青とも言えない、独特の色をしている。
「エメラルド」という言葉を使いたくなるけど、
それより深くて、暗い。
秘境という言葉がこれほど似合う場所はない。
10月、紅葉が始まった岩壁の隙間から空が見える。
その額縁みたいな景色で、声が出た。
観光案内には「ジオパーク」と書いてある。
でも来てみると、ジオパークとかじゃない。
もっと根源的な、人間以前の時間がそこにある。
便数が少ないため、必ず事前に予約すること。
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熊野への行き方
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