フェリーが岸に近づくにつれ、防波堤の上に何かが見えてくる。 よく見ると、猫だ。 何匹も、ただそこにいる。 真鍋島は岡山県笠岡市から船で約40分。 人口より猫の数が多いと言われる島に、やっと来られた。 港を降りた瞬間から、この島の時間が始まる。
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真鍋島の猫たち|港に降りた瞬間から、もう追いかけている
桟橋に足をつけた瞬間、足元に茶トラが一匹。
逃げない。
じっとこちらを見ている。
この島の猫は、人間に慣れすぎている。
怖がらない。でも媚びない。
そのバランスが、妙に心地いい。
島の細い路地を歩くと、5分もしないうちに10匹は見かける。
塀の上、石段の隅、漁船の船首。
いる場所がいちいちサマになっている。
猫の数は島民の数を超えるという話を地元の人から聞いた。
今の島民はおよそ200人を切っている。
猫は数えられていない、と笑っている。
カメラを向けると、じっとしていてくれる猫もいれば、
ゆっくり背を向けてどこかへ消える猫もいる。
その気まぐれさが、島の空気そのものだ。
午後の日差しの中、石畳に転がって眠る猫を見ていたら、
1時間があっという間に過ぎている。
真鍋邸|廃屋かと思ったら、そこに歴史があった
路地の奥に、突然それは現れる。
古い木造の建物。
瓦が重なり、縁側が残っている。
真鍋邸は、かつてこの島を治めた真鍋家の旧宅だ。
江戸時代からの歴史を持つ。
内部に踏み込んだとき、正直、息をのんだ。
がらんとしているのに、ちゃんと生きている感じがした。
土間の感触、柱の太さ、光の入り方。
すべてが時間をため込んでいる。
建物の保存状態は完璧ではない。
朽ちかけている部分もある。
それでも、ここに人が暮らしていたという気配が残っている。
縁側に腰を下ろする。
正面には島の集落と海が見える。
何百年も変わっていない景色が、そこにあった。
観光地化されていない。
案内板も少ない。
だからこそ、自分で感じるしかない場所だ。
走り神輿|海に入る神輿を、岸で見ている
これを見るために、祭りの時期に合わせて島に来た人がいる。
その気持ちが、現場に立ってはじめてわかった。
走り神輿は、毎年10月に行われる住吉神社の祭礼だ。
神輿が海へ向かって走る。
文字通り、走る。
担ぎ手たちの足が速い。
砂浜に入っても、止まらない。
波打ち際まで神輿が進んでいく。
観光客はそう多くない。
島民と、数人の旅人が岸で見ている。
それだけの規模なのに、空気が全然違った。
本物の祭りがそこにある、という感覚。
担ぎ手の顔が真剣だ。
かけ声が路地に響いた。
海風が神輿の飾りを揺らした。
島の祭りは、島の人たちのためのものだ。
外から来た人間は、ただ、そこに立たせてもらっているだけ。
それでも、見てよかったと心から思った。
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真鍋島への行き方
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