新潟の山奥に、湯けむりだけが漂う集落がある。 松之山温泉。 アクセスは決して楽じゃない。 それでも、ここに来る理由がある。 日本三大薬湯のひとつと言われる濃い塩分の湯。 冬になれば、2メートルを超える雪が集落を埋める。 その静けさは、どこか別の時代に迷い込んだような感覚だ。
松之山温泉のおすすめスポット
凌雲閣|雪の中の木造旅館で、時間が止まっている
築100年以上の木造建築。
廊下を歩くたびに、床がきしむ。
そのきしみが、妙に心地よかった。
湯は茶褐色で、なめると塩辛い。
源泉かけ流し、42度。
肌にまとわりつくような濃さがある。
「傷に効く湯」と地元の人が言っている。
窓の外は、一面の雪。
音がない。
本当に何も聞こえない。
宿泊すると、夜は自家製の料理が並ぶ。
山菜、川魚、地元の野菜。
品数は多くないけれど、全部ちゃんとおいしかった。
朝、6時に露天に入った。
雪がゆっくり降っている。
湯の温度は40度。
そのまま1時間、誰にも邪魔されない。
帰りたくなくなる宿、というのはこういうことだ。
ナステビュウ湯の山|地元の人に混ざって、400円で入る
観光客向けの旅館より、こっちの方が好きだ。
ナステビュウ湯の山は、地元の人が普段使いする日帰り温泉施設だ。
入浴料は400円。
脱衣所はシンプル。
ドライヤーは100円。
でも、湯は本物だ。
松之山の源泉がそのまま注がれている。
塩分濃度は海水の約2倍とも言われる。
入ると体がじんわりと温まって、出た後も冷えない。
休憩スペースがあって、地元のおじさんたちが将棋を指している。
テレビの音。
湯上がりのコーヒー牛乳、110円。
こういう空気は、旅館では体験できない。
雪道を歩いてここにたどり着いて、
お風呂上がりに窓の外の雪を眺める。
それだけで十分だと思えた。
駐車場も広いし、冬でもアクセスしやすい。
旅の拠点として、まず最初に立ち寄るのもいい。
美人林|ブナの木の間に入ると、森が静かに呼吸している
松之山温泉から車で約10分。
美人林、という名前がちょっとだけ気恥ずかしい。
でも、実際に見て、その名前を納得した。
ブナの木が、まっすぐ、同じ高さで、ずっと並んでいる。
樹齢約100年。
昭和初期に一度伐採されたあと、自然に再生したらしい。
冬は、枝に雪が積もる。
白と灰色だけの世界。
人工物は何もない。
歩き始めて5分で、日常がどこかに行った。
スノーシューを借りて入るのがおすすめだ。
長靴では膝まで埋まることがある。
近くの施設でレンタルできて、料金は1,000円程度。
午前中に行った。
人が少ない。
木の間から差し込む光が、雪の上に模様を作っている。
写真を撮るのを途中でやめた。
見ていたかったから。
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松之山温泉への行き方
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