松阪という街は、静かにすごい。 派手さはない。 でも、歩けば歩くほど、層の厚さを感じる。 城跡の石垣、江戸時代の学者の息吹、そして日本一とも言われる牛肉。 観光地然としていないのに、来た人が黙って満足して帰る街。 そういう場所が、三重にある。
松阪のおすすめスポット
松阪城跡|石垣だけが残る、それで十分だ
天守閣はない。
それを知らずに来て、少し拍子抜けした。
でも、石垣の前に立った瞬間、そんな気持ちは消えた。
野面積みの巨石が、ただそこにある。
積み上げられてから400年以上。
誰かが切って、運んで、積んだ石が、今も崩れずにいる。
城内は無料で入れる。
9時前でも普通に歩ける公園になっていて、地元のお年寄りが散歩している。
ベンチに座って石垣を眺めながら、コンビニで買ったコーヒーを飲んだ。
観光地じゃなくて、生活の場所の中に城跡がある。
そのゆるさが、妙に心地よかった。
本丸跡からの眺めも悪くない。
松阪の町並みが低く広がって、遠くに山の稜線が見える。
天守閣がないから、余計に空が広い気がした。
本居宣長記念館|「古事記」を読み解いた男の、35年間の書斎
正直に言う。
本居宣長の名前は知っていたけど、何をした人かはあいまいだ。
記念館に入って、35年かけて「古事記伝」を書き上げたと知った。
35年。
同じテーマを、ひとつの書斎で、35年。
展示されている鈴屋(すずのや)という書斎が、想像より小さかった。
畳4畳半の、ほんとうに小さな空間。
そこで、日本最長クラスの注釈書が生まれた。
入館料は350円。
安すぎる。
宣長が集めた鈴のコレクションも展示されている。
几帳面な性格だったらしく、整理された遺品を見ていると、その几帳面さで35年間書き続けた姿が浮かんできる。
歴史が好きでなくても、「すごい人間がいたんだな」と素直に思える場所だ。
松阪牛|値段を見て、覚悟を決めた
松阪に来たら食べないわけにはいかない。
わかってはいた。
ランチで入った老舗の焼肉店。
メニューを開いて、一瞬止まった。
ロース100gで4,000円台。
でも、来てしまったものは仕方ない。
覚悟を決めた。
網の上に乗せた瞬間、脂が音を立てた。
20秒も焼けば、もう食べごろだ。
ひと口食べて、しばらく黙った。
噛むたびに甘い脂がじわっと出てきた。
肉の甘さという表現が、ここで初めてわかった気がした。
松阪牛の定義は細かく決まっている。
松阪市周辺で育てられた黒毛和牛の中でも、特定の条件を満たしたものだけ。
松坂牛(坂)じゃなくて松阪牛(阪)が正式表記というのも、来るまで知らない。
お土産の肉は冷凍で持ち帰れる。
精肉店で100g1,500円前後から買えた。
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松阪への行き方
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