湖が、五つある。 それだけ聞いても、たいして驚かない。 でも実際に山の上から見下ろした瞬間、言葉を失った。 それぞれ色が違う。 青、緑、灰青——同じ湖のはずなのに、全部違う顔をしている。 福井県の西端、若狭湾に寄り添うようにある三方五湖。 来るまで少し遠い。 来てから、もっと早く来ればよかった。
三方五湖のおすすめスポット
レインボーライン山頂公園|湖が五つ、全部見えた日
ケーブルカーで約6分。
あっという間に標高約400mの山頂へ着く。
リフトに乗り換えて進むと、突然、視界が開ける。
息を呑んだ。
三方湖、水月湖、菅湖、久々子湖、日向湖——五つの湖が、一望できる。
しかも奥には若狭湾まで広がっている。
湖と海が同時に見える場所、なんてそうそうない。
入場料は大人1,100円。
ケーブルカーとリフトの往復込みで、そこまで高くない。
天気のいい日なら、湖の色の違いがくっきりわかる。
水月湖は緑がかっていて、三方湖は茶色みを帯びている。
なぜ違うのか、現地の看板を読んで初めて知った。
塩分濃度が違うから、色も変わるらしい。
ただきれいなだけじゃなく、ちゃんと理由があった。
それを知ってから見ると、また違って見える。
山頂には足湯もある。
景色を眺めながら、しばらく動けない。
三方湖|岸に立つと、静かが体に入ってくる
五つの湖の中で、唯一の淡水湖が三方湖。
周囲約9km。
岸に沿って歩ける遊歩道があって、朝に歩いてみた。
観光客がほとんどいない時間帯だ。
水面に山が映り込んでいた。
風がなければ、完全に鏡になる。
カメラを向けたが、画面に収めきれる気がしない。
湖面すれすれに飛ぶ鳥がいた。
名前はわからない。
でもその光景だけで、来た意味があった。
三方湖はカキやシジミの産地でもある。
近くの道の駅「三方五湖」で、地元のシジミを使った味噌汁を飲んだ。
200円だ。
出汁の濃さに驚いた。
インスタントとは別物。
こういう一杯が、旅の記憶に残る。
湖をぼーっと見ながら飲む味噌汁は、格別だ。
水月湖|世界中の研究者が注目する、静かな湖
水月湖には、ちょっと変わった顔がある。
「年縞(ねんこう)」の湖として、世界的に有名らしい。
湖の底に、毎年1枚ずつ縞模様が積み重なってきた。
その数、7万枚以上。
世界の時間の基準として使われている。
正直、最初はピンとこない。
近くにある「年縞博物館」に入ってから、理解できる。
入館料は大人420円。
ガラスケースの中に、実際の年縞の標本が展示されている。
全長45m。
7万年分の時間が、目の前にある。
それがわかった瞬間、鳥肌が立った。
外に出て湖を見ると、さっきと違って見える。
ただの湖じゃない。
時間が堆積している場所だ。
水月湖は波が立ちにくい地形のため、年縞が保存されてきたという。
湖の静けさには、理由があった。
そういう場所が、日本にある。
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三方五湖への行き方
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