地面の下に、別の世界がある。 山口県の美祢に来るたびに、そう思う。 鍾乳洞、カルスト台地、底まで透き通った泉。 自然がつくったものは、人間の想像を軽く超えてくる。 派手な観光地ではない。 でも、一度来たら忘れられない場所がここにある。
美祢のおすすめスポット
秋芳洞|地下1kmを歩いて、スケールに黙らされる
入口に立つと、冷たい空気が流れ出してくる。
夏でも体感10℃以上は違う。
思わず腕をさすった。
洞内の全長はなんと約10km。
観光コースは約1kmだけど、それでも30〜40分かかる。
歩き始めてすぐ、「百枚皿」が現れた。
棚田のように段々と重なる石灰岩の皿。
水がたまって、光に照らされている。
こんなものが地下にあるなんて、信じられない。
天井は高いところで30m以上。
声が小さくなる。
自然とそうなる。
混雑を避けるなら、平日の開館直後がいい。
9時ちょうどに入れば、しばらくは静かに歩ける。
ライトアップされた洞内を、ほぼ独り占めにできた朝があった。
靴はスニーカー必須。
ヒールで来ていた人が、入口で引き返している。
秋吉台|空が広すぎて、少し怖くなる
秋芳洞を出て、台地の上に出た。
そこは全然別の景色だ。
なだらかな草原が、どこまでも続く。
その中に白い岩がぽつぽつと突き出している。
カルスト地形の石灰岩。
ここが日本だと思えない。
広さは約130km²。
東洋最大級のカルスト台地と言われている。
その言葉の意味を、足で歩いて初めて理解した。
展望台から見渡すと、風がすごい。
髪が顔に張り付くほど強くて、帽子を押さえながら立っている。
3月下旬から4月上旬は「山焼き」の直後。
黒く焦げた大地に、緑がじわじわ戻ってくる季節だ。
その光景が、また特別に美しい。
駐車場から展望台まで歩いて5分もかからない。
でも、着いたら時間を忘れる。
気づいたら1時間近く、ぼんやり立っている。
別府弁天池|この青さは、嘘じゃないかと疑った
正直、写真を見たとき「加工してる」。
でも実際に来て、謝りたくなった。
本当に、そのままの青さがそこにある。
コバルトブルーというか、エメラルドというか。
言葉が追いつかない色だ。
水温は年間を通じて14℃前後。
湧水量は1日約1万トン。
その透明度のせいで、底が近く見える。
でも実際はかなり深い。
池の周りは静か。
観光地っぽくない。
地元の人が水を汲みに来ている。
おじさんがペットボトルに黙々と入れている。
飲めるらしい。
隣に小さな神社がある。
弁財天が祀られていて、縁結びの御利益があるとか。
秋芳洞から車で15分くらい。
帰り道に寄るにはちょうどいい距離だ。
5分だけのつもりが、30分は動けなくなる。
あの青は、しばらく目に残る。