大阪の南端、岬町。 電車を乗り継いで、海の匂いがしてきたら、もうすぐそこだ。 都心から1時間ちょっとで、こんなに遠くに来た気分になれる場所がある。 廃墟になった遊園地、ラピュタみたいな無人島、朽ちかけた港の風景。 「観光地」というより、何かが終わった後の空気が漂っている。 それが、妙に忘れられない。
岬のおすすめスポット
友ヶ島|ここは本当に大阪か、と思った
加太港から船で20分。
たったそれだけで、景色が別の国になる。
砲台跡の石積みは、苔で緑色になっている。
レンガのアーチが続く通路を歩いていると、足音が反響する。
誰も喋らなくなる瞬間があった。
島全体が、旧日本軍の要塞跡だ。
明治時代に造られて、そのまま時間が止まっている。
ジブリ映画「天空の城ラピュタ」に似てると言われるのは、来てみて納得した。
似てるというより、元ネタじゃないかと思うくらいだ。
ハイキングコースは1周約3時間。
島に売店はほぼない。
水と食べ物は必ず持参した方がいい。
帰りの船を逃すと、本当に詰む。
最終便の時間は、乗る前に必ず確認すること。
日差しが強い日の、砲台跡からの海の青さ。
あれは、ちょっと忘れられない。
みさき公園跡地|閉園した遊園地の、静けさ
2020年に閉園した。
その後、どうなったんだろうとずっと気になっている。
跡地はいま、再整備が進んでいる。
ジェットコースターの骨組みはもうない。
でも、あの独特の「何かがあった場所」の空気は残っている。
子どもの頃に来た人が、SNSに写真を上げ続けている。
廃墟ブームとはまた違う、個人的な記憶の場所として。
駅から歩いてすぐの立地で、海も見える高台にある。
晴れた日は、淡路島が目の前に浮かんでいる。
ここに遊園地があった理由が、その景色でわかった気がした。
現地に行ってみると、整備された公園として少しずつ変わりつつある。
「跡地を見に行く」という感覚で来ると、拍子抜けするだ。
でも、残った景色だけで十分だ。
海と空と、ちょっとだけ感傷。
そういう場所だ。
深日港|かつて淡路島に渡れた港の、今
深日港という名前を知っている人は、少ない。
かつて、ここから洲本まで定期船が出ている。
廃止になったのは1991年。
30年以上前の話だ。
港に着くと、静かすぎるくらい静かだ。
漁船が数隻、揺れている。
観光客は、ほとんどいない。
実は近年、復活に向けた実証実験が何度か行われている。
「深日洲本ライナー」という名前で、季節限定で運航されたこともあった。
乗れたとしたら、大阪から海を渡って淡路島へ。
そんなルートが使えた時期があった。
運航スケジュールは年によって違う。
行く前に必ず最新情報を調べること。
乗れなくても、港の景色だけで来た甲斐があった。
錆びた桟橋、海の色、何もない午後。
観光地化されてない港って、こんな顔をしているんだ。