中央アルプスと南アルプス、ふたつの山脈に挟まれた町。 飯田は、知る人ぞ知る「静かな本物」が揃っている。 有名すぎず、混みすぎず、でも確かに深い。 りんご並木の下を歩いて、峡谷の風を浴びて、秘湯で骨まで温まる。 そういう旅が、ここにある。
飯田のおすすめスポット
元善光寺|長野より先に、ここへ来た人がいた
元善光寺は、長野の善光寺よりも古い。
それを知ったとき、少し驚いた。
御本尊がもともと祀られていた場所が、ここ飯田なのだ。
「元」という一文字に、長い歴史が詰まっている。
境内に入ると、人が少ない。
静かすぎるくらい静かだ。
そのぶん、空気がひんやりと澄んでいる。
本堂の前で手を合わせると、なんとなく長野の善光寺よりも近い感じがした。
混んでいないからか、それとも古さのせいか。
「月次きの 三日はいつも 御開帳」という言葉が残っている。
毎月3日には御開帳があるらしい。
その日を狙って来れば、また違う顔が見られる。
駐車場は無料。
参拝料も不要。
気負わずに立ち寄れるのが、ちょうどよかった。
天竜峡|川がここまで暴れると、こうなるのか
天竜川が長年かけて削り出した渓谷。
そう聞いても、実際に見るまでは想像できない。
遊歩道を歩き始めて、すぐに息をのんだ。
両側から岩が迫ってくる。
川の音が体に響く。
遊歩道は約1kmほど。
30〜40分あれば一周できる。
でも、途中で何度も足が止まった。
白く泡立つ水面と、黒っぽい岩の対比がすごい。
写真を撮っても、あの迫力は半分も伝わらない気がした。
おすすめは朝。
観光客が少なく、川霧が出ることがある。
その日は7時ごろに着いたのだが、霧の中の峡谷は別世界だ。
遊覧船(約30分・大人1,500円)にも乗れる。
川の上から見上げる岩壁は、歩いているときとまるで角度が違う。
どちらかだけでなく、両方を体験してほしい。
遠山郷・かぐらの湯|秘境の奥に、こんな湯があるのか
飯田市街から車で約1時間。
どんどん山が深くなる。
「本当にこの先に温泉があるのか」と思い始めたころ、ようやく着く。
かぐらの湯は、遠山郷の中心・南信濃にある日帰り温泉施設だ。
入浴料は大人600円(2024年時点)。
この価格で、この湯質はおかしい。
湯は少し茶褐色がかっている。
ナトリウム・カルシウム塩化物泉。
ぬるめの露天風呂に長く浸かっていると、体の芯から温度が変わっていく感じがした。
周辺は「霜月祭」で知られる地域。
冬には湯煙の中で祭りの太鼓が聞こえると聞いた。
それを目当てにまた来たいと、帰り道ずっ。
食事処も併設している。
遠山ジンギスカンを頼んだ。
ラム肉と地元野菜の組み合わせが、温泉の後の体にちょうどよかった。
道中、コンビニはほぼない。
燃料と時間に余裕を持って向かうべき場所だ。