日本海に突き出た岬。 風が強くて、波の音がうるさくて、それでも足が止まらない。 長門は、ただ「きれいな場所」じゃない。 息を飲む瞬間が、ここには何度も待っている。 山口の奥まで来て、よかったと思える場所だ。
長門のおすすめスポット
元乃隅稲荷神社|123基の鳥居の先に、海が広がっている
鳥居をくぐると、もう戻れない気がした。
123基の赤い鳥居が、岬の端まで続いている。
幅は人ひとりが通れるくらい。
両側から鳥居が迫ってくる。
足元は石畳で、少し滑る。
朝9時に着いたのに、すでに先客が数人いた。
鳥居を抜けた先。
断崖の向こうに、日本海が広がっている。
青というより、深い藍色だ。
鳥居の上には賽銭箱がある。
高さ6メートルの場所に、穴がひとつ。
お金を入れるのに5回かかった。
入った瞬間、隣にいた知らないおじさんと一緒に拍手した。
CNNが「世界の夢の旅行先31選」に選んだのは2015年のこと。
それ以来、駐車場はいつも混んでいる。
朝一番に来るのが正解だ。
千畳敷|ただそこに立つだけで、なぜか泣きそうになった
名前だけ聞いたとき、広い岩場くらいのイメージだ。
実際に立ったら、ちがった。
海に向かって、岩がなだらかに広がっている。
畳千枚分という広さが、数字じゃなく感覚でわかる。
観光客が少ない時間帯を選んだ。
岩の上に自分ひとりしかいない。
風の音と波の音だけ。
それだけで十分すぎた。
夕方に来たのも正解だ。
太陽が海に落ちていく時間、岩が橙色に染まる。
写真に撮ったけど、あの色は再現できていない。
足場は平らに見えて、ところどころ濡れている。
靴底がしっかりしたスニーカーは必須だ。
サンダルで来ていた人が滑っている。
駐車場から岩場まで徒歩5分もかからない。
気軽に来られる場所なのに、来た人の多くが長居している。
そういう場所だ。
長門湯本温泉|川沿いの一夜が、旅の記憶になった
山口県最古の温泉と言われている。
歴史は600年以上。
ただ、2021年にリニューアルして街並みが変わった。
川沿いに木のデッキが整備されて、夜はライトアップされる。
古くて、でも新しい。
そういうバランスが絶妙だ。
泊まったのは老舗旅館。
1泊2食で18,000円から。
部屋から音信川の流れが見える。
お湯はアルカリ性単純温泉。
ぬるっとした感触があって、肌がやわらかくなる。
21時過ぎに入ったら、貸し切り状態だ。
翌朝、川沿いを30分ほど歩いた。
地元の人が犬を連れて散歩している。
観光地というより、生活している町だ。
温泉街の中に「恩湯(おんとう)」という公衆浴場がある。
入浴料は500円。
源泉かけ流しを、地元の人と並んで浸かる。
その時間がいちばん長門らしかった。