秋になると、中津川のことを思い出す。 栗の香りが路地に漂って、石畳の上を歩くと足音が響く。 派手さはない。 でも、一度来たら何度でも戻りたくなる町だ。 歴史と甘いものと、石垣の上から見た景色。 それだけで、もう十分すぎる旅になった。
中津川のおすすめスポット
栗きんとん老舗街|秋の中津川は、甘い匂いから始まる
本町通りに入った瞬間、気づく。
空気が違う。
栗の蒸される匂いが、どこからともなく漂ってくる。
老舗が10軒以上、数百メートルの通りに並んでいる。
すやや川上屋、恵那川上屋など、店ごとに微妙に味が違う。
ひとつ食べると、次の店が気になる。
気づいたら3軒はしごしている。
値段はだいたい1個150〜200円前後。
高くはない。
でも安っぽくもない。
たったひとくちに、職人の仕事が詰まっている感じがした。
9月下旬から11月が最盛期。
早い時間に行かないと、売り切れる店もある。
10時には着いておきたい。
食べ歩きしながら、石畳を歩く。
それだけで、中津川に来た意味があった。
苗木城跡|石垣の上に立つと、時間が止まった
正直、なめている。
「城跡」というだけで、石碑と案内板があるだけだ。
駐車場から歩いて20分。
息が上がったところで、視界が開ける。
巨大な岩盤の上に、石垣が積み上がっている。
天守台に立つと、木曽川が眼下に広がる。
恵那山もよく見える。
ここに城があった理由が、全身で分かった気がした。
戦国時代に築かれ、江戸時代を経て明治に廃城。
今は石垣と岩盤だけが残る。
でも、それがかえってよかった。
余計なものが何もない分、想像力で補える。
入城料は無料。
それが信じられないくらい、見応えがあった。
早朝に行くと霧が出ることがある。
霧の中に石垣が浮かぶ光景は、息をのんだ。
8時前に着くのをおすすめしたい。
馬籠宿|石畳の坂道に、江戸がまだ残っている
中津川から車で約20分。
馬籠宿は、長野との県境に近い山の中にある。
坂道に沿って、古い宿場が続く。
電線は地中化されていて、看板も抑えられている。
どこを切り取っても絵になる。
江戸時代の中山道の宿場町で、島崎藤村の生家もここにある。
記念館の入館料は700円。
藤村の生涯を丁寧に追った展示で、思った以上に時間を使った。
五平餅を焼く匂いが坂の途中で漂ってくる。
1本350円。
炭火で焼いて、くるみ味噌を塗ってある。
これが、また栗きんとんとは別の方向でうまい。
観光客は多い。
早朝か夕方近くが静かでいい。
人がはけた後の石畳は、別の顔を見せてくれる。
馬籠から妻籠(長野県)への旧道ハイキングコースもある。
片道約8キロ、3時間ほど。
体力に自信があれば、歩いた方が絶対にいい。