本土から船で約3時間。 フェリーが港に近づくと、空気が変わる。 ただ、青くて深い海が広がっている。 隠岐の島は、観光地になりきれていない場所だ。 その不完全さが、たまらなく好きだ。 島時間に乗っかって、ゆっくり動く。 それだけで、ここに来た意味が出てくる。
隠岐の島のおすすめスポット
ローソク島|夕暮れ17分間だけ、海から炎が立ち上がる
乗船したのは夕方16時すぎ。
西ノ島の浦郷港から遊覧船に乗る。
料金は大人2,500円。
所要は約1時間のコースだ。
船が島の近くに来たとき、正直なところ「岩だな」。
高さ約20メートルの細い岩柱。
確かにローソクの形をしている。
でも、まだ夕陽は落ちていない。
17時ちょうど、太陽がその岩の先端に重なった。
ローソクに、火が灯った。
そう言うしかない光景だ。
周りにいた乗客がみんな黙った。
カメラを構えたまま、誰も動かない。
その静寂が、たぶん1番正直な感想だ。
この"炎"が見えるのは、夕陽が一直線に届く数分間だけ。
雲が出たら終わり。
波が高くても船は出ない。
運が絡む体験だからこそ、見られたときの重みが違う。
玉若酢命神社|樹齢2000年の杉の下で、時間の感覚が狂う
隠岐の島町(島後)の中心部から車で10分ほど。
看板が小さくて、一度通り過ぎた。
参道に入ると、正面に巨大な杉が現れる。
八百杉(やおすぎ)と呼ばれる御神木。
樹齢2,000年以上、幹周りは約11メートル。
数字で聞いても、ピンとこない。
でも実物を前にすると、なにかに圧倒される。
木の根元に手を置いてみた。
ひんやりしている。
それだけで、妙に落ち着いた。
社殿は鎌倉時代の建築様式を残している。
国の重要文化財だ。
観光客はほとんどいない。
地元の人が一人、手を合わせている。
派手さはなにもない。
でも、何百年も変わらずここにある、という事実がある。
その「ただいる」感じが、この神社の全てだ。
参拝は無料。
朝早くに来るのがいい。
光の入り方が、まったく違う。
焼火神社|標高452m、山の中に神社があった
西ノ島の焼火山(たくひさん)山頂近く。
標高452メートルの場所に、神社がある。
登山口から歩いて約1時間。
道は整備されているが、急登がある。
夏に行くなら、水は多めに持っていくべきだ。
息が上がってきた頃に、石段が現れた。
苔むした石段の先に、社殿が岩に埋まっている。
岩窟の中に、ぴったり収まっている。
思わず「え」と声が出た。
創建は12世紀以前とされている。
航海の神として、かつて日本海を渡る船乗りたちが拝んだ場所だ。
嵐の夜、この山の火を目印にしたという記録が残る。
山頂に近い岩盤から、島後・知夫里島が一望できる。
風が強かった。
ただただ、青かった。
下山後に飲んだ自動販売機のお茶が、150円だ。
なぜか、それが妙においしかった。
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隠岐の島への行き方
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