フェリーが岸を離れた瞬間、スマホを閉じた。 竹原から船で40分。 大崎上島は、そういう島だ。 造船所の鉄の匂いと、みかん畑の甘い空気が混ざっている。 冬の海は凪いでいて、静かすぎるくらい静かだ。 ここに来るまで、この島の名前すら知らない。
大崎上島のおすすめスポット
神峰山|標高452m、冬晴れの頂上で瀬戸内が全部見える
登山口から頂上まで、だいたい1時間半。
道は整備されているが、冬は霜で滑る。
軽登山靴で正解だ。
標高が上がるにつれて、島が小さくなっていく。
息が白くなる。
12月の朝8時、気温は4度だ。
頂上に着いた瞬間、声が出た。
ため息というか、なんというか。
瀬戸内海の島々が、全部見渡せる。
生口島、因島、遠くに四国の山並み。
ここまで来た人にしか見えない景色だ。
観光客はほとんどいない。
それがまた、よかった。
下山後に飲む自販機のホットコーヒーが、妙においしかった。
きのえ温泉|島の人と一緒に、ぬるめの湯に長くつかる
木江の港のすぐそば。
建物は古びていて、正直なところ最初は入るか迷った。
入浴料は400円。
タオルは持参か、フロントで買う。
湯船は2つだけ。
地元のおじさんたちが話しながら入っている。
ぬるめの湯、42度くらい。
長くつかれる温度だ。
神峰山を下りてきた体に、じんわり染みた。
足の指先から温まっていく感じ。
窓の外は海。
夕方4時、日が落ちかけている。
観光地の温泉ではない。
島の生活の一部に、少しだけ混ぜてもらった感じ。
それが正直な感想だ。
大崎上島の造船所群|島の生活と巨大な船が、普通に隣り合っている
島を走っていると、突然でかい船が現れる。
民家のすぐ横に、ドックがある。
大崎上島は日本有数の造船の島だ。
とはいえ、観光地化されていない。
工場は現役で稼働中。
道路から見える鉄骨の骨組み、クレーン、ブルーシート。
音がすごい。
グラインダーの音と潮の音が混ざっている。
港に停めた車から、30分くらい眺めている。
飽きない。
島の人に聞いたら、「うちの兄が造船所で働いとる」と言っている。
そういう島なのだ。
夕暮れ時、ドックの明かりがオレンジ色に光っている。
その光景が、いちばん記憶に残っている。
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大崎上島への行き方
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