長野の奥深く、雪に閉ざされた山あいに、その湯はある。 道路は細く、集落はひっそりと静まり返っている。 観光地という言葉が似合わない場所だ。 それなのに、また来たくなる。 小谷温泉は、そういう場所だ。
小谷温泉のおすすめスポット
雨飾荘|雪の夜、硫黄の匂いと静寂だけがある
宿に着いたのは夕方5時過ぎ。
外は氷点下、雪がしんしんと積もっている。
フロントで鍵を受け取り、廊下を歩く。
古い木造の床が、ぎしぎしと鳴る。
その音が、なぜかほっとした。
温泉は源泉かけ流し。
乳白色の湯が、浴槽からゆっくりと溢れている。
硫黄の匂いがすごい。最初は少し驚く。
でも10分も浸かると、それが気持ちよくなってくる。
料金は1泊2食で15,000円前後。
決して安くはない。
でも、この静けさと湯質に対して、高いとは感じない。
夜9時以降、廊下に人気がなくなる。
雪の音しか聞こえない夜だ。
ああ、ここまで来てよかった、と思った瞬間だ。
雨飾山登山口|夏と冬では、まるで別の場所だ
冬に訪れると、登山口は完全に雪の下だ。
標識だけが辛うじて頭を出している。
標高は登山口時点でおよそ940m。
山頂は1,963m。
夏なら往復6〜7時間の中級コース。
冬は完全に上級者向けの雪山になる。
その日は登らない。ただ、そこに立った。
静かだ。
風の音と、雪が枝から落ちる音だけ。
駐車場には車が1台もない。
夏に再訪したとき、登山道の入口に花が咲いている。
ブナ林の緑が濃くて、空気が違った。
同じ場所なのに、まったく別の山に見える。
ここは、季節を変えて何度でも来る価値がある場所だ。
登らなくても、この空気を吸いに来るだけでいい。
山田旅館|明治創業、時間が止まったような宿
雨飾荘から歩いて5分もかからない。
山田旅館は、そこにひっそりとある。
創業は明治時代。
建物の梁や柱が、その年月を語っている。
チェックインのとき、女将さんが出てきた。
物腰が静かで、押しつけがましさがゼロだ。
部屋は和室。窓の外は雪山。
テレビはあるが、つける気にならない。
湯は単純硫黄泉。
肌がつるつるになる、と女将さんが言っている。
実際、翌朝の肌の感触が違った。
本当に違った。
1泊2食で12,000円前後。
素朴な夕食に、地元の山菜が何品も並んだ。
名前を聞いても、いくつか知らないものがあった。
それが逆に、ここに来た実感になった。
派手さは何もない。
でも、また泊まりたいと思う宿だ。
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小谷温泉への行き方
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