フェリーが稚内を離れた瞬間、もう引き返せない。 礼文島まで約2時間。 海の色が、本土とは明らかに違う。 「花の浮島」という言葉を聞いても、正直ピンとこない。 でも島に降り立って、風を吸い込んだ瞬間にわかった。 ここはそういう場所だ。
礼文島のおすすめスポット
桃岩展望台|風が強すぎて、立っていられない
登山口から歩いて約40分。
そんなにきつくないと聞いていたのに、息が上がった。
高山植物が足元に広がっていて、何度も立ち止まった。
そのせいで時間がかかっただ。
頂上に着いたとき、風速は体感で15メートルくらいあった。
スマホを出したら飛ばされそうで、しばらくポケットにしまっている。
視界に入るのは、海だけ。
右も、左も、前も、海。
雲が動くのが速くて、光が10分おきに変わっていく。
しんどいと思いながら登ったのに、下りたくない。
1時間以上、そこにいた。
帰りのフェリーの時間が気になりはじめるまで、ずっといた。
スコトン岬|日本最北の集落の、静けさについて
礼文島の最北端まで、バスで約50分。
運賃は870円。
バスの中に乗客は3人しかいない。
岬に着いて、まず思ったのは「何もない」だ。
売店が1軒、トイレが1棟、あとは風と草と崖。
でも岬の先端まで歩いて、海を見下ろしたとき、感覚が変わった。
遠くにトド島が浮かんでいる。
晴れていればサハリンが見える、と地元の人が教えてくれた。
この日は曇りで、見えない。
観光客が来ては5分で去っていく。
なのにここが「日本最北限の有人集落」だという事実が、重くのしかかってくる。
ここで暮らしている人がいる。
冬の礼文島で、この岬のそばで。
そのことを考えながら、バス停のベンチに30分座っている。
レブンアツモリソウ|会いに来た、それだけの花だ
礼文島固有種。
世界でここにしか咲かない。
6月上旬から中旬の約2週間だけ。
その情報を知ってから、この島に来ることを決めた。
自生地は立入禁止になっている。
フェンスの外から見るしかない。
思ったより小さかった。
淡いクリーム色で、形が独特で、ランの仲間だと言われて納得した。
礼文島の森林公園には保護・育成されている群落があって、そこで近くで見られた。
入場料は300円。
係の人が丁寧に教えてくれた。
「昔は盗掘で激減したんですよ」という言葉が刺さった。
今咲いているのは、誰かが守り続けたからだ。
フェンスの前に立って、ただ見ている。
写真を何枚撮っても足りない。
花が好きなわけじゃないのに、来てよかった。
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礼文島への行き方
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