空気が、酒くさい。 それが第一印象だ。 広島・西条に降り立った瞬間、鼻をくすぐる麹の香り。 ここは日本三大酒どころのひとつ。 白壁の酒蔵が並ぶ路地を歩けば、江戸から続く醸造の歴史が皮膚から染みこんでくる。 飲むために来る街が、こんなにも美しいとは思っていない。
西条(酒都)のおすすめスポット
西条酒蔵通り|白壁と煙突の路地で、時間の感覚を失った
JR西条駅を出て、徒歩5分もかからない。
いきなり江戸時代に引き戻されたような景色が広がる。
白壁の蔵、赤煉瓦の煙突、石畳の路地。
これが現役の醸造所だというから驚く。
観光地として整備された「なんちゃって」じゃない。
今も酒を仕込んでいる、生きた蔵だ。
朝10時ごろに訪れたら、蔵人が荷物を運んでいた。
当たり前のように仕事をしている姿に、なぜか胸が熱くなった。
通りの長さは約1km。
ゆっくり歩いて40分くらい。
途中に立ち飲みスタンドがあって、朝から地元のおじさんが一杯やっている。
そのくらいが普通、という空気が最高だ。
カメラを持っていくと確実に撮りすぎる。
ストレージの空きに注意。
西條鶴醸造|試飲500円で、好みの一本に出会う場所
酒蔵通りに8つの蔵が並ぶ中で、足が止まったのが西條鶴醸造だ。
創業は1877年(明治10年)。
建物の重量感が違う。
見学コースは予約なしで入れる日もあるが、週末は混むので事前に確認したほうがいい。
蔵の中は薄暗くて、ひんやりしている。
タンクの大きさに、思わず声が出た。
スタッフの方が丁寧に醸造工程を説明してくれる。
難しい話を、ちゃんとわかりやすく。
そして本題の試飲。
500円払うと数種類が並ぶ。
辛口、甘口、にごり酒。
全部飲んだ。
昼前から完全にいい気分になった。
結局、純米吟醸を1本お土産に買った。
2,200円。
重かったけど、後悔はまったくない。
酒まつり|10月の2日間だけ、西条が沸騰する
毎年10月の第2土日に開催される「酒まつり」。
来場者は2日間でおよそ18万人。
この数字を事前に見て、正直なめている。
着いた瞬間に理解した。
すごい人だ。
駅前から会場まで、人の波が途切れない。
1,500円でマイカップを購入すると、各蔵のお酒が飲み放題エリアで楽しめる。
つまり実質飲み放題。
広島の地酒がこれだけ並ぶ機会は他にない。
食べ物の屋台も充実していて、牡蠣の屋台には長蛇の列。
30分待ったけど、その価値はあった。
蔵元の方と話せる機会も多い。
「今年はどんな年でしたか」と聞いたら、米の話を30分してくれた。
日帰りは体力的にきつい。
西条駅周辺のホテルは半年前に埋まる。
本当に半年前に予約しないといけない。