自転車を漕ぐたびに、海が近づいてくる。 橋の上から見下ろす瀬戸内海は、写真で見たそれとは全然違う。 風が顔に当たって、潮の匂いがして、はじめてここに来た実感が湧いた。 しまなみ海道は、移動そのものが目的になる、珍しい場所だ。
しまなみ海道のおすすめスポット
多々羅大橋|橋の上に立つと、瀬戸内海が全部見える
自転車専用のレーンで橋に入った瞬間、風が強くなった。
橋の長さは1480メートル。
歩いて渡ると15分くらいかかる。
真ん中あたりで思わず止まって、欄干に手をついた。
左も右も、島と海と空だけ。
建物がない。
電線もない。
ただ、水平線と小さな島が続いている。
ここは広島と愛媛の県境に位置している。
橋の中央に県境のラインが引いてあって、観光客がみんなそこで写真を撮っている。
なんだか、それがちょっとおかしくて笑えた。
朝8時台に渡ったのが正解だ。
人が少なくて、光が柔らかくて、海が金色に光っている。
昼は逆光になるし、観光客も増える。
渡るなら午前中が断然いい。
亀老山展望公園|しんどい坂の先に、息が止まる景色があった
正直に言う。
上りがきつい。
大島の港からレンタサイクルで向かったが、途中で何度も降りて押した。
標高307メートル。
距離は短くても、勾配が容赦ない。
それでも上る価値があると聞いていたので、汗だくになりながら到達した。
展望台への遊歩道を数分歩くと、急に視界が開ける。
来た。
これだ。
多々羅大橋が正面に見えて、島々が重なって、海の色が7種類くらいある。
青だけじゃなくて、緑がかったところ、深い紺のところ、光って白くなっているところ。
カメラを向けたが、正直、写真では半分も伝わらない。
夕方17時ごろが特によかった。
光が斜めに入って、橋のシルエットが黒くなって、海が赤くなっていく。
ここでサンセットを見るために来る旅人が多い理由が、わかった気がした。
大山祇神社|樹齢2600年の楠の下で、時間の感覚がなくなった
大三島に渡ると、空気が変わった。
なんとなく、そう感じた。
大山祇神社は、全国の三嶋神社の総本社にあたる。
境内に入ると、まず楠の大木が目に入る。
樹齢2600年と書いてある。
わかるようで、わからない年月だ。
しばらく幹の前に立っている。
触れていいのか迷って、結局そっと手のひらを当てた。
ひんやりしている。
本殿は想像よりずっと静かだ。
観光地っぽい賑やかさがなくて、参拝している人たちも、みんな少し声が小さかった。
宝物館には国宝や重要文化財の武具がずらっと並んでいる。
入館料は1000円。
甲冑がこんなに集まっている場所は、ほかで見たことがない。
源義経や源頼朝が奉納した甲冑もある。
神社の外には地元の柑橘を売っている小さな売店があった。
そこで買った伊予柑が、異常においしかった。
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しまなみ海道への行き方
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