城下町、という言葉がこんなにしっくりくる街は、そうそうない。 松江に降り立った瞬間、空気が違う。 湖のにおいがする。 石畳の路地がある。 そこに、まだ江戸時代の輪郭が残っている。 派手さはないけれど、じわじわと好きになる街だ。
松江のおすすめスポット
松江城|黒くて、重くて、本物だ
日本に12しかない現存天守のひとつ。
それだけで来る理由になった。
石段を上がるにつれて、天守が大きくなってくる。
黒い外壁、武骨なフォルム。
きれいすぎない、という表現が一番近い。
天守内は6層構造で、最上階まで急な階段が続く。
靴を脱いで登るので、滑りにくい靴下は必須だ。
最上階からの景色が、想像以上だ。
宍道湖が見える。
城下の街並みが、ほぼそのままの形で広がっている。
ここから同じ景色を見ていた人が、400年前にいたと思うと、妙な気持ちになった。
見学時間は45分ほど。
朝一番、開城直後の8時半に入ると人が少なくてよかった。
宍道湖|夕方17時、湖畔に立つべき理由
日本で7番目に大きい湖、宍道湖。
しじみが有名、というのは知っている。
でも実際に湖岸に立って、その広さに少し驚いた。
対岸が見えない。
ほとんど海みたいだ。
白鳥が3羽、のんびり浮かんでいた。
地元の人が犬を散歩させている。
その隙間に、観光客がいる。
そういうバランスの場所だ。
絶対に夕方に来た方がいい。
日没の30分前に袖師地蔵の前に立つと、水面が橙色に変わっていく。
11月の取材では、17時15分ごろがピークだ。
宍道湖の夕日は「日本の夕日百選」に選ばれているらしい。
パンフレットで見るより、ずっと静かで、ずっとよかった。
カメラを構える前に、しばらく眺めている。
小泉八雲記念館|知らなかったことが、多すぎた
正直に言うと、小泉八雲のことをよく知らずに入った。
「ラフカディオ・ハーン」という名前と、怪談を書いた人、それくらいの知識だ。
記念館は、松江城のすぐ近くにある。
入館料は310円。
安すぎて逆に心配になる値段だ。
展示は思ったより読み応えがあった。
ハーンがいかに松江を愛していたか。
日本人の女性・小泉セツと出会い、ここで所帯を持ち、帰化したこと。
「松江の空気が、自分に合っていた」という趣旨の言葉が展示にあった。
それを読んで、少し納得した。
この街の空気は、確かに何か特別なものがある。
隣には旧居も残っていて、庭まで見学できる。
ハーンが「日本で一番好きだった場所」と書いた庭だ。
静かで、緑が深くて、良い場所だ。