札幌から特急で約1時間。 白老という町は、静かすぎるくらい静かだ。 でも、その静けさの奥に、ずっと問い続けられてきた歴史がある。 アイヌの文化、幕末の記憶、カルデラ湖の深い青。 そのどれもが、表面をなぞるだけでは足りない。 ちゃんと時間をかけて向き合いたい場所だと、帰り道に思った。
白老のおすすめスポット
ウポポイ(民族共生象徴空間)|知らなかったことを、知る場所
2020年にオープンした施設だ。
広大な敷地に、博物館・体験交流ホール・工房が点在している。
入場料は1,200円。
広すぎて、2〜3時間では全然足りない。
国立アイヌ民族博物館は、展示の密度が想像以上だ。
ただ「見る」だけの展示じゃない。
音が流れている。言葉が聞こえてくる。
アイヌ語の響きが、空間全体に溶けている。
正直、圧倒された。
学校では数行で終わった話が、ここでは何十年分もの重さで迫ってくる。
感情が追いつかない感じ、というか。
湖沿いの遊歩道も歩いた。
ポロト湖の静かな水面を見ながら、しばらく動けない。
観光に来たはずが、気づけばもっと深いところまで引きずり込まれている。
そういう場所だ、ここは。
白老仙台藩陣屋跡|草に埋もれた、もうひとつの歴史
ウポポイから歩いて10分ほどで着く。
入場は無料だ。
幕末、蝦夷地の警備を命じられた仙台藩がここに陣屋を構えた。
1856年のことだそうだ。
今は土塁の跡と、静かな公園が残っている。
正直、派手さは何もない。
看板があって、土が盛り上がっていて、木が立っている。
それだけ、と言えばそれだけだ。
でも、ウポポイで感じたことの後に来ると、見え方が変わった。
この地に、いくつもの「語られ方」が重なっている。
アイヌの人々がいた土地に、和人が来た。
守るとはどういうことか。
開拓とは何か。
そういうことを、草の匂いを嗅ぎながら考えた。
観光客はほぼいない。
ひとりで歩いて、ひとりで立ち止まって、ひとりで考えた。
そういう時間が、この場所には似合う。
クッタラ湖|人の気配がない、深すぎる青
白老駅からバスか車で約30分。
たどり着いたとき、声が出た。
カルデラ湖なので、まわりは山に囲まれている。
透明度は約28m。
日本トップクラスの数字だ。
その水の色が、青というより、もはや濃紺に近い。
観光地化されていない。
遊覧船も売店も、何もほとんどない。
展望台があって、湖岸に降りる道があって、静寂がある。
それだけ。
夏でも水温が低く、魚もほとんど住めないらしい。
生き物が少ない湖。
だから、水が澄んでいる。
なんか、それが少し切ない。
15時ごろに訪れたら、湖面が光を反射して溶けるみたいに見える。
他に人は2組だけ。
誰もしゃべっていない。
しゃべる気にならない場所というのが、たまにある。
ここがそうだ。
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白老への行き方
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