地図で見つけたとき、正直「本当に人が住んでいるのか」。 三重県尾鷲市の南端、山と海に挟まれた入り江の底にある集落、須賀利。 車で行けない。 フェリーか、細い山道を歩くか、それだけ。 そのアクセスの悪さが、この村を今でも「ここだけの時間」に閉じ込めている。
須賀利のおすすめスポット
須賀利港|船が着いた瞬間、時計が止まった
尾鷲港から市営定期船に乗って約30分。
料金は片道480円。
そのフェリーが須賀利港に近づいたとき、思わず声が出た。
山に張り付くように並ぶ家々。
透き通った海。
岸壁に無造作に置かれた漁具。
それが「絵」じゃなくて、今も誰かが生きている場所だとわかったとき、なんともいえない気持ちになった。
港に降り立つと静かだ。
エンジン音も、観光客の声もない。
波の音と、どこかで猫が鳴く声だけ。
コンクリートの岸壁に座って、ぼうっと海を見ている。
10分くらい経っていた気がする。
それだけで、来た意味があった。
定期船は1日3便しかない。
最終便を絶対に逃してはいけない。
ここに宿はない。
須賀利の大クス|村の奥に、化け物みたいな木がいた
港から細い路地を歩いて10分ほど。
案内板がなければ絶対に迷う。
というか、1回迷った。
民家の軒先をかすめながら、石段を上っていくと、急に視界が開けた。
でかい。
異様にでかい。
樹齢約1000年、幹まわり約9メートル。
数字で書いてもピンとこないけど、実物を前にすると「生き物」という感覚が先に来る。
木というより、そこだけ別の時間が流れている感じ。
触っていいのかどうかもわからなくて、しばらく周りをぐるぐる歩いている。
表面のごつごつした質感、根の盛り上がり方、上に向かう枝の広がり。
全部が規格外だ。
誰もいない。
静寂の中に、その木だけが立っている。
ちょっと怖かった。
でも、離れたくない。
漁村集落|生活の匂いがする場所を、歩く
須賀利に観光スポットは少ない。
でも、それがいい。
路地を歩くだけで、ここが「現役の漁村」だとわかる。
干された魚、積み上げられた網、玄関先の長靴。
どれも「演出」じゃない。
集落は山の斜面に沿って広がっていて、平坦な道がほとんどない。
石段、坂、また石段。
高いところから見下ろすと、屋根が重なり合って、その向こうに海が広がる。
この眺めのためだけでも来る価値がある。
人口は50人を切っている。
すれ違うお年寄りが「どこから来たの」と話しかけてくれた。
東京から来たと言ったら、笑っている。
観光地化されていない。
整備もされていない。
だからこそ、本物の漁村がここに残っている。
来られるうちに来ておいた方がいい。
そう思いながら、最終便の時間を確認した。
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須賀利への行き方
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