冬の諏訪は、空気が刺さるように冷たい。 湖面が凍りつく「御神渡り」を待ちながら、 この町は静かに息をしている。 標高759mの盆地に閉じ込められた湖と、 二千年以上の歴史を持つ神社。 温泉まで湧く。 これだけが揃う場所は、そうそうない。
長野県の諏訪湖畔に位置する温泉地。上諏訪駅を起点に主要スポットへ徒歩やバスでアクセスでき、東京からは約2時間30分で着く。諏訪大社は上社・下社あわせて4つの宮が諏訪湖を囲む古社で、宮ごとに異なる雰囲気を巡り歩ける。周囲約16kmの諏訪湖は冬が見頃で、全面結氷した氷に亀裂が走る「御神渡り」は冬季限定の景観だ。片倉館は製糸業の黄金期に建てられたローマ浴場風の石造り浴室を持ち、湖の光が差し込む湯に浸かれる。上諏訪駅西口からは宿への無料送迎もある(予約不要・14:30〜17:00)。冬の湖面を走る、一筋の亀裂。
諏訪のおすすめスポット
諏訪大社|二千年、ここに神様がいた
諏訪大社は一社じゃない。
上社・下社あわせて4つの宮が、諏訪湖を囲むように点在している。
まず訪れたのは、下社春宮。
参道を歩き始めた瞬間、空気が変わった。
杉の香りと、冷気と、静けさが混ざり合う。
本殿前に立つ「御柱」の存在感がすごい。
7年ごとに山から木を切り出して、人力で運び下ろす。
「御柱祭」と呼ばれるその祭りは、日本三大奇祭のひとつ。
実際に柱の前に立つと、その太さと高さに圧倒される。
上社本宮まで足を延ばすと、拝殿の奥に山がそのまま御神体として鎮座している。
建物の後ろに、ただ山がある。
それが御神体。
シンプルすぎて、かえって怖い。
4宮全部まわると半日かかる。
焦らず、ゆっくり歩くのがいい。
諏訪湖|1月、湖が鳴る夜がある
諏訪湖の周囲は約16km。
冬にここへ来るなら、「御神渡り」を知っておいてほしい。
諏訪湖が全面結氷すると、氷が膨張して亀裂が走る。
その亀裂が盛り上がり、湖を横断するように筋ができる。
それが御神渡り。
見られるのは、本当に寒い年だけ。
ここ数年は温暖化の影響で出現しないこともある。
出るかどうか、誰にもわからない。
それでも、凍りかけた湖の縁に立つだけで十分だ。
風が吹くたびに氷の薄い部分がきしむ音がする。
「ミシッ」とか「パキッ」とか。
湖が生きているみたいで、少し怖かった。
日没直前の時間帯が特にいい。
オレンジ色の光が湖面に広がって、寒さを忘れる。
諏訪湖ハイウェイオアシスの展望台は無料で入れる。
夕暮れは16時45分ごろには始まる(1月の場合)。
片倉館|昭和2年の贅沢が、今も動いている
片倉館を見た瞬間、ここが長野県だと忘れた。
ヨーロッパの城みたいな外観の建物が、住宅街の中にいきなり現れる。
建てたのは、片倉財閥。
昭和2年(1927年)に製糸業で財を成した片倉家が、地域の人々のために作った公衆浴場だ。
入浴料は700円。
中に入ると、千人風呂と呼ばれる大浴場がある。
浴槽の深さが約1.1m。
立って入る温泉。
初めて入ったとき、思わず笑ってしまった。
床にはローマンモザイクのタイル。
壁には彫刻。
天窓から光が差し込んでくる。
戦前の富裕層が考えた「日常の贅沢」を、700円で体験できる。
営業は10時〜21時(最終入館20時30分)。
火曜日が定休。
冬の夕方、諏訪大社を参拝した後にここで温まる流れが完璧だ。
モデルコース
諏訪への行き方
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