琵琶湖の西岸に、静かな街がある。 新幹線も通らない。有名なテーマパークもない。 でも、春になると何度でも行きたくなる場所だ。 湖面に鳥居が浮かび、桜が水際まで迫り、 まっすぐな並木道が霧の中に消えていく。 高島は、派手さじゃなく、空気で勝負する街だ。
高島のおすすめスポット
白鬚神社|湖の上に鳥居が立つ、あの朝
早朝5時半に宿を出た。
理由はひとつ、誰もいない鳥居を見たかったから。
国道161号沿いにある白鬚神社。
車道を渡った先、琵琶湖の中に鳥居が立っている。
「近江の厳島」と呼ばれるのも、行けば納得する。
朝靄の中、湖面がほとんど動かない。
水鏡に映る鳥居を見て、声が出ない。
きれいとかじゃなく、ただ、立ち尽くした。
日中は観光バスも来る。
湖岸に三脚を並べたカメラマンも多い。
だから早朝一択だ。
拝殿は湖の対岸側、道路の東側にある。
創建は約2000年前とされ、全国に約300社ある白鬚神社の総本社だ。
拝殿までの石段はきつくない。
10分もあれば境内をひととおり見てまわれる。
車で来る場合、駐車場は無料。
ただし国道を横断するとき、スピードを出した車が多い。
渡るタイミングには注意が必要だ。
海津大崎|桜のトンネルを、ゆっくり走った
4月の第一週、それが海津大崎の桜の見頃だ。
約800本のソメイヨシノが、湖岸4kmにわたって咲く。
車で走ると、桜のトンネルになった。
右には湖、左は山、頭上には花びら。
スピードを落とさずにはいられない。
地元のおばあさんが言っている。
「満開より、少し散り始めのほうが好きや」と。
確かに、花びらが湖面に落ちる光景は別格だ。
観光船も出ている。
琵琶湖側から桜を見上げるルートで、料金は大人1,500円前後。
陸と水面、両方から楽しむのがおすすめだ。
問題は混雑と駐車場。
週末の昼間は渋滞が1時間以上になることもある。
臨時駐車場が設けられるが、台数に限りがある。
平日か、早朝7時前に現地入りするのが賢い選択だ。
桜の時期だけ売られる、地元のよもぎ餅がうまかった。
名前を聞き忘れたのが、いまでも悔しい。
メタセコイア並木|11月も、4月も、ここに来る理由がある
秋の紅葉が有名だ。
でも春に来て、考えが変わった。
マキノ高原へ続く農道に、約500本のメタセコイアが並ぶ。
全長約2.4km、まっすぐ続く並木道だ。
4月上旬、芽吹いたばかりの若葉が柔らかかった。
黄緑色の新芽が午前中の光に透けて、
思わずシャッターを切り続けた。
道路の両脇に田んぼが広がっている。
春は水が張られて、逆さメタセコイアが映る。
晴れた朝、それが見たくて6時台に現地に立った。
誰もいない。
風もない。
完璧な水鏡だ。
並木沿いに直売所がある。
高島産の野菜や漬物が並んでいた。
かぶらずしを買って、宿で食べた。
発酵の酸味と塩気が、忘れられない味だ。
渋滞は紅葉シーズンほどじゃない。
でも桜と重なる週末は、駐車場が埋まりやすい。
朝イチ推奨、これに尽きる。