紀伊半島の奥へ向かうほど、空気が変わる。 田辺はその入り口だ。 熊野への古道が始まり、源平の歴史が眠り、山の端に温泉が湧く。 派手さはない。 でも一度来ると、またここから歩き出したくなる。 そういう町だ。
田辺のおすすめスポット
闘鶏神社|弁慶が旅立った、石畳の静けさ
田辺駅から歩いて10分もかからない。
そこに、あの弁慶が生まれたとされる神社がある。
境内に入ると、まず静かさに驚く。
町の中心部なのに、鳥の声しか聞こえない。
「闘鶏」という名前の由来が面白い。
源平合戦のとき、どちらにつくか鶏を戦わせて決めたという。
そんな話が1200年前に本当にあったのか。
境内に立つと、妙にリアルに感じられる。
冬の午前中に訪れると、参拝者がほとんどいない。
本殿の朱色が、冬の低い光に照らされてやけに鮮やかだ。
弁慶像の前で少し立ち止まった。
ここから熊野へ向かったのか、と思うと、古道がただの山道ではなくなる。
入場無料。所要30分もあれば十分だが、もう少し長居したくなる。
熊野古道・中辺路|足元が歴史になる、苔の道
田辺を起点に、中辺路は山へ続く。
今回は近露王子周辺を3時間ほど歩いた。
出発は朝8時。
冬の山は霧が深く、50メートル先が白くかすんでいた。
石畳が現れたとき、足が止まった。
ぬらぬらと濡れて、苔が分厚く乗っている。
何百年、人が踏んできたのか。
その重さが、石の表面ににじんでいるようだ。
熊野詣の人々はここを何日もかけて歩いた。
スニーカーで3時間が少しきつかった。
装備は本当に大事だ。トレッキングシューズ必須。
冬は落葉していて、視界が開ける。
夏より山の骨格がよく見える季節だ。
近露王子から滝尻王子まで歩く人も多いが、体力に合わせて区間を選ぶのが正解。
バス「龍神バス」を使えば、片道だけ歩いて戻れる。
運賃は区間によるが500〜1000円前後。
白浜温泉|冬の露天風呂、海と空の境目が消える
田辺から車で30分。
白浜温泉は「崎の湯」だけで来る価値がある。
岩場に直接作られた露天風呂。
目の前は太平洋。
波が砕けて、湯船に飛沫が入ってくることもある。
冬の朝9時に入った。
空気は4℃、湯は熱め。
その温度差が、頭の中を空っぽにする。
ここは日本最古の温泉のひとつとされている。
でもそういう説明より、あの景色を体で感じてほしい。
料金は500円。
シャンプー・石鹸は使えない、かけ湯だけの昔ながらのスタイル。
タオルは持参を。
夕方の時間帯は日没と重なる。
海が赤くなる瞬間を湯の中で見たら、少し泣きそうになった。
大げさではなく、本当にそういう場所だ。
白浜には他にも温泉施設があるが、崎の湯だけは外せない。
冬でも混雑するので、開館直後の9時が狙い目。
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田辺への行き方
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