霧の朝、篠山に着いた。 駅を出た瞬間、空気が違う。 なんというか、時代のにおいがする。 城下町の骨格がそのまま残っている街は、全国でも数少ない。 黒豆の畑が広がり、猪肉の煙が漂い、陶器の土が赤い。 ここは「観光地になった古い街」じゃない。 今も人が暮らし、食べ、焼き続けている場所だ。
丹波篠山のおすすめスポット
篠山城跡|石垣の上から、城下町がまるごと見える
入場料は400円。
安い、と思った瞬間に入ってよかった。
大書院は2000年に復元されたもの。
でも石垣は本物の江戸時代だ。
1609年、徳川家康が西国大名への抑えとして築かせた。
その重みが、石一つひとつから伝わってくる。
天守台に上ると、城下町の街並みがそのまま広がっている。
碁盤目状の道、瓦屋根の連なり。
400年前の都市計画が今も生きている。
ちょっと震えた。
朝9時に着いたら観光客はほぼゼロだ。
石垣の上で30分、ひとりで過ごした。
あの静けさは、午後には絶対に味わえない。
早起きして来てよかった、と心から思った時間だ。
河原町妻入商家群|江戸時代の商店街を、普通に歩いた
国の重要伝統的建造物群保存地区。
長い名前だけど、要するに「江戸時代の商店街がそのまま残っている通り」だ。
全長200メートルほどの通りに、妻入り造りの商家が並ぶ。
妻入りというのは、建物の短い側が通りに面している様式。
京都や奈良とも違う、篠山独特の景観をつくっている。
驚いたのは、現役の店舗が多いことだ。
カフェ、雑貨屋、ギャラリー。
古い建物の中で、今の暮らしが続いている。
とある店でコーヒーを頼んだ。
築150年の町家で、400円のドリップコーヒー。
梁が太くて、天井が高くて、奥に坪庭が見える。
ここに観光気分で来るのは少し違う気がした。
街ごと体験する、というほうが正しい。
夕方の光が石畳に落ちる時間が、いちばん美しかった。
丹波立杭陶の里|60軒の窯元が、山の斜面に集まっている
篠山城から車で約15分。
今熊野(いまくまの)地区に入ると、空気がまた変わった。
丹波焼は日本六古窯のひとつ。
800年以上の歴史がある。
その窯元が60軒以上、山裾にひしめいている。
まず「陶の郷(すえのさと)」に立ち寄った。
ショールームに各窯元の作品が集まっていて、比べながら見られる。
入場無料なのに2時間いた。
面白いのは、窯元ごとに全然違う顔を持っていること。
素朴でごつい土もの、薄くて繊細なもの、現代アート寄りのもの。
同じ土、同じ地域でこれだけ幅がある。
個人の窯元をいくつか回った。
作家が工房で轆轤を回しながら、普通に話しかけてくれた。
「この釉薬は灰を自分で精製してるんですよ」
そんな話を聞きながら選んだ湯呑みは、値段以上の重みがあった。
今も毎朝使っている。
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丹波篠山への行き方
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