京都の北、日本海側。 そこに、まだ観光地化しきっていない海がある。 舟屋が水面に浮かぶ漁村、岬の先端に立つ灯台、鳴く砂の浜。 丹後半島は、来るのに少し時間がかかる。 だからこそ、着いたときの静けさが、ちゃんと残っている。
丹後のおすすめスポット
伊根の舟屋|海の上に、暮らしが浮いている
伊根湾に沿って、230棟以上の舟屋が並んでいる。
1階が船のガレージ、2階が住居。
そんな建物が、海にそのまませり出している。
遊覧船に乗ったのは朝9時ごろ。
料金は大人680円。
所要時間は約25分。
でも、あっという間だ。
岸から見ているときとは全然ちがう。
海側から見ると、舟屋の床が水面ギリギリにある。
生活の匂いがする。
洗濯物が干してあったりする。
江戸時代からこの形が続いているらしい。
なのに、廃墟でも博物館でもない。
今もここで、人が暮らしている。
それが、じわっとくる。
車で来るなら、道が狭いので注意が必要だ。
集落の外れに無料駐車場がある。
そこから歩いた。
15分くらいで集落を端から端まで歩けた。
経ヶ岬|本州最北端の京都、という事実
経ヶ岬は、近畿地方の最北端にある。
京都府なのに、日本海の荒々しい岬。
そのギャップが面白い。
駐車場から灯台まで、山道を約20分歩く。
舗装されているが、急な坂もある。
ちゃんとした靴で来てよかった。
たどり着いた先に、白い灯台が立っている。
1898年(明治31年)に建てられたもの。
100年以上、この場所で海を照らしてきた。
岬の先端に立つと、風が強い。
遮るものが何もない。
360度、海と空だけが広がっている。
晴れた日には隠岐の島まで見えるらしい。
その日は少し霞んでいたけれど、水平線の果てまで見渡せた。
ここまで来る観光客は多くない。
駐車場でほかに車が3台しかない。
だから静かで、時間がゆっくり流れている。
琴引浜|砂が、鳴く。それだけで来る価値がある
「鳴き砂」という言葉は知っている。
歩くと砂がキュッキュと音を立てる浜のこと。
でも、実際に聞くまでは半信半疑だ。
琴引浜に着いて、砂の上を歩いた。
最初は無音。
「本当に鳴くのか?」と思いながら歩いていたら、急に聞こえる。
キュッ、キュッ。
足元から、ちゃんと鳴っている。
思わず止まった。
もう一度、踏んだ。
やっぱり鳴る。
全長約1.8kmの浜に、この音が続いている。
日本最大の鳴き砂の浜と言われているのも、納得した。
鳴き砂はデリケートで、砂が汚れると鳴かなくなるらしい。
だからここでは石鹸やシャンプーの使用が禁止されている。
「浜を守るルール」があることで、音が守られている。
夕方に来たら、夕日が海に沈んでいくのが見える。
そのタイミングで浜を歩くと、砂が金色に見える。
来るなら夕方がいい。