播磨の小京都、と呼ばれている。 でも、そんな言葉じゃ全然足りない。 醤油の香りが路地に漂い、 白壁の蔵が静かに並ぶ。 人が少ない。 静かすぎるくらいだ。 それが、龍野の本当の魅力だ。
街全体が醤油の香りに染まっている。江戸時代から醸造の町として栄え、今も蔵が白壁で立ち並ぶ。龍野城の石垣を背に、童謡『鯉のぼり』の作曲者・河村光陽がこの地で育った。町を歩けば、仕込みの時期には樽の香木の香りが身体に沁み込む。播磨地方の赤穂街道の宿場町として栄えた歴史は、今も碁盤目の街路に息づいている。地元の醤油を使った料理は、この街の時間を一口で噛み締める行為だ。そんな街で、ひと世代前の人間たちの手仕事に出会う。
龍野のおすすめスポット
醤油蔵の街並み|鼻から先に、江戸時代が来る
龍野に着いてまず感じるのは、匂いだ。
甘くて、深くて、少し懐かしい。
あれが、溜まり醤油の香り。
ヒガシマル醤油の工場が今もここにある。
創業は1661年。
江戸時代からずっと、この街で醤油を作ってきた。
本町通りを歩くと、白壁の蔵が連なっている。
しかも、観光地化されすぎていない。
生活の匂いがちゃんとある。
「龍野醤油資料館」に入ってみた。
入場料200円。
古い道具がずらりと並んでいて、
説明を読んでいたら30分が経っている。
資料館を出た後、角を曲がると
小さな醤油屋さんがあった。
試食させてもらったら、東京で買えるものと全然違った。
とろっとして、香りが濃い。
500mlを2本、迷わず買った。
午前中に来るのがおすすめ。
光が白壁に当たって、写真が面白いくらい撮れる。
龍野城|小さくて、地味で、なぜか好きになる
正直に言う。
最初は期待していない。
天守閣の高さは約12m。
姫路城と比べたら、かわいいサイズだ。
入場料200円を払って中に入ると、
展示室がいくつかあるだけ。
でも、なぜか離れがたかった。
建物は江戸時代の再建で、
内部は脇坂氏の歴史が丁寧に展示されている。
脇坂安治という武将がここの城主だったと知って、
関ヶ原の戦いのエピソードを読んだら
そこから1時間いた。
城よりも、城址公園の景色がよかった。
龍野の街が眼下に広がって、
醤油蔵の白壁が見える。
山がすぐそこにある。
ベンチに座って、ぼっとしている。
11月に行ったが、紅葉が本当にきれいだ。
もみじが赤く染まって、石垣と合っている。
人も少ない。
あの静けさは、たぶんここにしかない。
童謡の里|「赤とんぼ」が、急に身近になる
龍野は、童謡「赤とんぼ」の故郷だ。
作詞した三木露風がここで生まれた。
「童謡の里」と呼ばれるエリアには
三木露風の生家がある。
入場無料。
こじんまりした日本家屋で、
縁側に座って庭を眺めていたら、
誰も来なくて30分ひとりでいた。
「赤とんぼ」の歌詞の意味を、
大人になって初めてちゃんと読んだ気がした。
近くに「霞城館」という資料館もある。
入場料200円。
露風の直筆原稿や書簡が展示されていて、
意外と引き込まれる。
夕方4時ごろになると、
街のどこかで「赤とんぼ」のメロディが流れた。
チャイムのような感じで。
びっくりして立ち止まって、
気づいたら目頭が熱くなっている。
理由はわからない。
でも、あの瞬間、龍野が好きになった。
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龍野への行き方
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