川沿いの空気が、ひんやりと肺に入ってくる。 天竜峡は、長野県の南端にある。 都会の喧騒から離れて、水の音だけが聞こえる場所。 舟に乗って、岩肌を眺めて、湯に浸かる。 それだけなのに、なぜか何度でも戻りたくなる。
天竜峡のおすすめスポット
天竜峡舟下り|川の上でしか、見えない景色がある
乗り場に着いたのは、朝9時ごろだ。
思ったより小さな舟だ。
6人ほどが乗り込むと、もうぎゅうぎゅう。
船頭さんが竿を一突きすると、すうっと岸を離れる。
エンジン音がない。
水音だけが、耳に届く。
両岸にそびえる岩壁が、じわじわと迫ってくる。
切り立った断崖は高さ数十メートル。
川から見上げると、首が痛くなるほどだ。
一番印象的だったのは「烏帽子岩」のあたり。
岩の隙間から差し込む光が、川面に反射して揺れる。
写真で見るより、ずっと立体的だ。
所要時間は約50分。
終点の唐笠駅から列車で戻るルートが定番。
春の新緑と秋の紅葉、どちらも全然違う顔を見せると船頭さんが言っている。
それは嘘じゃない。
龍峡亭|川沿いの宿で、時間の流れが変わった
チェックインは15時。
フロントで鍵を受け取って、部屋に通されると、窓の向こうに天竜川が広がっている。
そのままぼーっと30分、川を眺めている。
何もしていないのに、それが良かった。
夕食は地元の食材が中心だ。
信州サーモンの刺身、猪肉の煮込み、山菜の天ぷら。
どれも丁寧で、量がちょうどいい。
飯田市の地酒「喜久水」を頼んだら、するすると飲んでしまった。
部屋数が多すぎないのが、この宿のいいところだ。
廊下に人が溢れることがない。
朝ごはんも静かに食べられた。
露天風呂から星が見える。
空が広いのだ、山間なのに。
その夜は、目覚ましをかけずに眠った。
天竜峡温泉|舟下りの後に、ここへ来てよかった
舟を降りた後、足腰がじんわりと疲れている。
2〜3時間、川の揺れに耐えていた体は、思ったより正直だ。
温泉は、川沿いの施設で日帰り入浴もできる。
料金は500円ほど。
安い。
お湯はアルカリ性で、肌がぬるっとする。
「美人の湯」という言葉は信じない方だけど、入浴後の肌の感触は確かに違った。
内風呂から窓越しに、天竜川が見える。
湯気の向こうに川。
舟下りで見た景色を、今度は温かい場所から眺めている。
なんだか逆転した気分だ。
平日の昼間に行ったので、ほぼ貸し切り状態だ。
地元のおじさんが一人いて、無言で気持ちよさそうにしている。
それが全てを物語っている。
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天竜峡への行き方
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