苫小牧は、通過する街じゃない。 フェリーの発着地として知られているけど、 ここで降りて、歩いて、食べてみたら 全然違う顔があった。 渡り鳥が集まる湖、縄文から続く歴史、 貝ひとつで唸らせるグルメ。 静かな港町に、ちゃんと深みがある。
苫小牧のおすすめスポット
ウトナイ湖野生鳥獣保護センター|双眼鏡1本で、野生の時間に入り込む
駐車場に車を停めた瞬間、静かすぎて少し戸惑った。
風の音と、遠くで水鳥の鳴き声。
それだけ。
ウトナイ湖はラムサール条約登録湿地で、
渡り鳥の中継地として国際的にも知られた場所だ。
でも、来てみるまでそのスケールが想像できない。
保護センターの建物は小さい。
無料で入れて、スタッフの方が丁寧に教えてくれる。
「今日はオオハクチョウが200羽くらいいますよ」
そんな言葉に、思わず外に飛び出した。
湖畔の遊歩道は1周約3.5km。
朝8時台に歩き始めると、ほぼ人がいない。
カメラを構えたバードウォッチャーが数人いるだけ。
静寂の中で、白い鳥の群れが水面に浮かんでいた。
望遠鏡なしでも十分見える距離感に驚いた。
野生なのに、近い。
自然の側が、ここでは主役だとわかる場所だ。
北海道博物館(近郊)|北海道の「なぜ」が、全部ここにあった
苫小牧からは車で40分ほど、札幌の森の中に建つ博物館。
近郊スポットとして足を延ばした。
入館料は600円。
その安さを最初はなめてかかった。
展示を見始めて、1時間後には完全に考えが変わっている。
アイヌ文化、開拓の歴史、縄文時代の出土品。
北海道の成り立ちが時系列で積み上がっていく。
「なんでここに人が住み始めたのか」
そんな問いに、静かに答えてくれる展示構成だ。
なかでも1万年前の遺物の展示が妙にリアルで、
当時の人間の暮らしがじわじわ伝わってきた。
土器の模様のひとつひとつに意味があるらしい。
知らない。
館内は広く、常設展だけで2時間は余裕でかかる。
昼食は敷地内のカフェでサッと済ませて、
午後もまるっと使った。
道外から来るなら、絶対に外せない。
苫小牧のホッキ貝|「日本一の水揚げ量」は、食べて初めてわかる
苫小牧といえばホッキ貝、とは聞いている。
でも正直、貝でそんなに変わるものか?。
市内の定食屋でホッキカレーを頼んだ。
値段は1,200円ほど。
器が来た瞬間、ホッキ貝の大きさに目が止まった。
スーパーで見るものより、明らかに厚みが違う。
ひと口食べて、納得した。
甘い。
貝特有のクセがなく、むっちりとした弾力があって、
カレーに負けない存在感だ。
苫小牧のホッキ貝の年間水揚げ量は約2,000トン。
全国の約半分を占めるらしい。
その数字が、食べてやっと意味を持った。
翌朝は市場で生のホッキ貝を買って、
宿で刺身にしてもらった。
紫がかったあの色、生でしか見られない。
甘みがさらに際立っている。
苫小牧に来たら、ホッキは「はずせない」じゃなくて
「ここから食べ始める」くらいの気持ちでいい。