潮のにおいがする。 石畳の路地を歩くと、江戸時代から時間が止まっているみたいだ。 鞆の浦は、広島県の福山市からバスで約40分。 そこまで遠くない。 なのに、着いた瞬間「別の国に来た」。 坂本龍馬が隠れた町。朝鮮通信使が「日東第一形勝」と称えた景色。 その言葉の意味が、海を見た瞬間にわかった。
鞆の浦のおすすめスポット
鞆の浦港|江戸の港が、まだそこにある
港に降り立って、まず驚いた。
雁木(がんぎ)と呼ばれる石段が、海にそのまま続いている。
潮が満ちると半分沈む。引くと現れる。
江戸時代から変わっていない構造だと聞いた。
朝8時ごろに行くといい。
観光客がまだ少ない。
地元の漁師が網を広げていたり、猫が日向ぼっこしていたり。
その時間の港が、いちばん本物だ。
港沿いに歩くと、鯛や鱧(はも)を売る魚屋がある。
値段は市場価格。安い。
朝どれの鯛を見ていたら、店のおじさんに話しかけられた。
「どっから来たん?」って。
そういう距離感が、この町にはある。
夕方の港も見ておきたい。
光が海面に落ちて、雁木の石が橙色に染まる。
それだけで、来た意味があった。
常夜灯|1859年から、毎晩ここで灯りをともしてきた
港のいちばん突端に、石造りの灯台が立っている。
高さ約5メートル。
江戸時代末期、1859年に建てられた。
現存する江戸時代の常夜灯としては、日本最大級らしい。
「らしい」というのは、説明板で読んだから。
でも説明より先に、見た目で圧倒された。
石の表面が苔で緑がかっていて、ずっと昔からここに立っているのがわかる。
周りには雁木、向こうには仙酔島。
この構図がそのまま、江戸時代の絵図と同じだという。
夜になると常夜灯に灯りが入る。
オレンジ色の光が海に映って、それはもう絵みたいだ。
宿を鞆の浦にとって、夜の港を歩いたのは正解だ。
ここで写真を撮ろうとしている人が多い。
朝か夕方が光の条件がいい。
昼の12時ごろは逆光になりやすかった。
福禅寺対潮楼|朝鮮通信使が「最高の景色」と言った、その場所
入館料200円。
その安さで、あの景色が見られる。
対潮楼は、福禅寺の客殿として1690年代に建てられた。
朝鮮通信使の宿舎にもなった場所だ。
縁側に座って海を見ると、意味がわかった。
目の前に仙酔島と弁天島が浮かんでいる。
その間から光が差して、海の色が刻々と変わっていく。
ガラス窓がない。
風が直接入ってくる。
潮のにおいもする。
1719年、朝鮮通信使の李邦彦がここで「日東第一形勝(朝鮮から来た使節が見た、最高の景色)」と書き残した。
その言葉の書が、今も館内に飾られている。
縁側に座って30分は動けない。
そういう場所だ。
拝観は9時〜17時。
月曜が休みの週もあるので、訪問前に確認しておいた方がいい。
靴を脱いで上がる。靴下は履いていった方がいい。
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鞆の浦への行き方
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