石畳を踏んだ瞬間、時代が変わる。 そんな感覚を味わえる場所が、今もちゃんと残っている。 妻籠宿は、木曽路のど真ん中にある江戸の宿場町だ。 コンビニも自販機も見当たらない。 観光地化される前の「生活の匂い」が、まだここにある。
妻籠のおすすめスポット
妻籠宿本陣|将軍も泊まった宿に、ただの旅人が上がりこむ
本陣というのは、参勤交代の大名や公家が泊まった宿のことだ。
庶民には縁のなかった場所。
そこに入場料600円で入れる。
なんかおかしくて、少し笑えた。
建物は明治時代に再建されたもので、江戸そのままではない。
でも、間取りや造りは当時の様式を忠実に再現している。
上段の間に立つと、畳の広さと天井の高さに圧倒される。
ここに将軍家の使者が座っていたのか、と思うと足がすくんだ。
庭もある。
小さいけど、手入れが行き届いていて清々しい。
春先に訪ねたので、梅がちょうど咲いている。
パンフレットには載っていない光景だ。
所要時間は20〜30分あれば十分。
でも、縁側に腰かけてぼーっとしていたら1時間が過ぎた。
そういう場所だ。
脇本陣奥谷|現存する唯一の脇本陣。ここだけ空気が違う
本陣の隣に、脇本陣奥谷がある。
脇本陣は、本陣が満員のときに大名が泊まる代替の宿だ。
この建物、全国でここだけ現存している。
その事実を聞いてから見ると、重みが全然違った。
明治10年に建て替えられた建物は、欅の黒い柱が太く、どっしりしている。
廊下を歩くたびにギシギシと音がする。
その音がまたいい。
島崎藤村の初恋の相手、ゆふさんが嫁いだ家でもある。
そういう話を知ってから見る囲炉裏の部屋は、少し切ない。
案内の方が丁寧に説明してくれた。
ツアーでも予約でもなく、ふらっと入った旅人に。
20分ほど話し込んだ。
ガイドブックには載っていない話を聞けた。
3館共通券を買えば、ここ単体で600円のところが実質100円で見られる計算になる。
共通券を買わない理由がない。
妻籠城跡|宿場町の上に、忘れられた山城がある
妻籠に城跡があると知ったのは、現地に着いてからだ。
うっかり看板を見つけて、登ることにした。
本丸跡まで、石畳の宿場町から徒歩で約20分。
最初はゆるやかな山道だが、後半は急になる。
11月の午後、汗をかいた。
着いた先には、何もない。
土塁の跡と、立て看板だけがある。
城跡としては地味だ。
でも、眼下に妻籠の集落と木曽川が広がる。
その眺めで全部持っていかれた。
ここは戦国時代、武田氏と織田氏が木曽路の支配権を争った場所だ。
今は誰もいない。
鳥の声しかしない。
静かすぎて、少し怖かった。
登る人は多くない。
宿場町を歩く観光客のうち、ここまで来るのは一割もいない。
だからこそ、行く価値がある。
足元は舗装されていない箇所もあるので、スニーカー以上は必須だ。
モデルコース
妻籠への行き方
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