標高2000mの世界は、別の星みたいだ。 雲が足元に広がって、風が耳を切る。 美ヶ原は、長野県の中部に広がる日本最大級の溶岩台地。 アクセスは決して楽じゃない。 それでも、たどり着いた瞬間に全部帳消しになる景色がある。 特に冬。雪と氷と静寂だけが残るあの高原は、一生忘れられない。
美ヶ原のおすすめスポット
美しの塔|吹雪の中で、鐘の音だけが頼りだ
霧が出ると、10m先が見えなくなる。
そのために建てられた塔が「美しの塔」だ。
昭和30年代、霧の中で遭難した登山者を救うために造られた。
高さ約3.6m、鐘がついている。
冬に訪れると、塔の周囲は完全な雪原になっている。
足跡もほとんどない。
風速10m超えの中、鐘に触れた。
冷たすぎて、一瞬で手を引っ込めた。
晴れた日の朝8時ごろが狙い目だ。
空気が澄んでいて、北アルプスまで見渡せる。
遠くに白い山並みが連なっている。
あれが全部、3000m級の山だとゾッとした。
美しの塔は特に入場料もなく、柵もない。
高原のど真ん中に、ただ静かに立っている。
そのシンプルさが、逆に刺さる。
王ヶ頭|雲の上に立った朝、言葉が出ない
美ヶ原の最高峰、標高2034m。
「王ヶ頭」という名前がいい。
そこにはホテルがある。
「王ヶ頭ホテル」、予約が取りにくいことで有名だ。
宿泊すると、日の出前に山頂へ案内してもらえる。
外気温はマイナス15度。
防寒具を3枚重ねて、それでも寒かった。
午前5時45分ごろ、空が赤くなりはじめた。
富士山が見える。
その左に南アルプス、右に北アルプス。
360度、山だらけ。
声が出ない。
というか、出す気になれない。
誰かと共有するより、ひとりで受け止めたかった。
頂上には電波塔が立っていて、少し無粋に見える。
でもそれも含めて、あの景色だ。
冬の王ヶ頭は、アイゼンが必要な場面もある。
軽アイゼンを持参するのが正解だ。
美ヶ原牧場|夏は牛、冬は別世界
夏に来ると、牛がいる。
200頭近くが放牧されていて、のんびりしている。
道のど真ん中を歩いていて、車が止まる。
そういう場所だ。
冬は全然違う。
牛はいない。
代わりに、どこまでも続く雪原がある。
音がない。
風だけが動いている。
牧場の中を歩くと、踏みしめるたびに雪がキュッと鳴く。
その音が気持ちいい。
夏の緑と、冬の白。
同じ場所とは思えない。
美ヶ原自然保護センターの近くに無料駐車場がある。
夏のシーズンは混む。
朝7時前に着くのが正解だ。
駐車料金は無料だけど、ビーナスライン経由でのアクセスになるので、
冬はチェーンかスタッドレスが絶対に必要だ。
ノーマルタイヤで来ている車を見たことがない。
来てほしくない、というより、来られない。
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美ヶ原への行き方
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