函館から車で1時間ほど北上すると、急に空が広くなる。 噴火湾を左手に感じながら走るその道が、八雲への入口だ。 派手な観光地じゃない。 でも、来てよかったと思う瞬間が、ここには確かにある。 海と牧草地と、祭りの灯り。 そういうものが、静かに並んでいる町だ。
八雲のおすすめスポット
八雲あんどん祭り|夜の川沿いに、3000個の灯りが流れていく
毎年8月中旬の2日間だけ、八雲の夜は変わる。
遊楽部川の沿道に、手作りのあんどんが並ぶ。
数は約3000個。
ひとつひとつ、地元の人たちが絵を描いたものだ。
暗くなってきた19時ごろ、灯りに火が入った。
その瞬間、川沿いの空気がふっと変わった。
観光客向けに作られた演出、という感じがしない。
なんというか、ちゃんと「地元の祭り」だ。
屋台も出るけど、規模は小さめ。
それがかえって良かった。
人混みにもまれることなく、あんどんをゆっくり見て歩けた。
1時間ほど歩いたら、近くの川べりに座り込んだ。
川の音と、遠くから聞こえるお囃子。
スマホをしまって、ただそこにいた。
そういう時間が、この祭りにはあった。
噴火湾展望館|ここまで来て、やっと噴火湾の「全部」が見える
道の駅に併設された展望館で、入館料は300円。
正直、期待値は低かった。
「道の駅の2階でしょ」くらいに思っている。
エレベーターで上がって、窓の前に立った瞬間に声が出た。
噴火湾が、ほぼ全部見える。
半円形に広がる湾と、その向こうの山並み。
晴れた日には駒ヶ岳がくっきり見える。
館内には八雲の漁業や農業の展示もある。
でも正直、展示よりも窓の外をずっと見ている。
噴火湾というのは、かつてここが火山活動で沈んだ場所だという。
それを知ってから見ると、この湾の丸さに納得がいく。
地形に理由がある、と感じる瞬間は何度来ても面白い。
売店でソフトクリームを買って、外のベンチで食べた。
1時間もいた。
それでも飽きない。
落部漁港|朝6時、漁師町の空気を吸いに行った
早起きして落部漁港に行ったのは、ほぼ衝動だ。
宿を出たのが5時45分。
まだ霧がかかっている。
漁港には小さな船が並んでいて、すでに動き始めている人がいた。
声をかけてみたら、ホタテの出荷作業中だ。
噴火湾はホタテの産地として知られている。
ここのホタテは、冷たい海でゆっくり育つからか、身がしっかりしている。
近くの鮮魚店が8時ごろから開く。
そこで買った生ホタテを、その場で食べた。
500円で5枚。
醤油もレモンもいらない。
漁港の脇に小さな堤防がある。
霧が晴れてくると、対岸の山が見え始めた。
誰もいない堤防で、ただぼうっとしている。
こういう場所は、観光ルートには出てこない。
でも、旅の中でいちばん覚えていたりする。