金沢市内から車で30分。 そこに、別の時間が流れている。 湯涌温泉は、観光地らしくない。 派手な看板もない。 人で混み合う土産屋もない。 ただ、静かな山あいに湯けむりが漂って、 冬の空気がきんと冷えている。 そのギャップが、妙に刺さった。
湯涌温泉のおすすめスポット
湯涌温泉街|にぎやかじゃない。それがいい。
温泉街と聞いて想像するような
ネオンも行列もない。
旅館が数軒並ぶ細い通りに、
足湯がひとつ。
無料で入れる。
平日の午後3時ごろ、足を浸けた。
ほかに誰もいない。
お湯は42℃くらい。
思ったより熱くて、最初は驚いた。
泉質はナトリウム・カルシウム塩化物泉。
じんわり温まるタイプで、
入った後に肌がすべすべになった。
これは本当の話。
旅館の日帰り入浴は
1,000円前後が相場。
午前中より午後の方が空いている。
夕方4時以降は受け付けを締め切る宿もあるので
早めに動いた方がいい。
温泉街全体が、
昭和の湯治場みたいな空気を残している。
ここに来ると、なんとなくほっとする。
うまく説明できないけど、そういう場所。
玉泉湖|冬の湖は、静止している。
温泉街から歩いて5分もかからない。
そこに小さな湖がある。
玉泉湖。
観光マップには載っているけれど、
誰も来ていない。
2月の朝、湖面が薄く凍っている。
踏んだら割れそうな、あの感じ。
じっと見ていると、
対岸の木々が水面に映り込んでいた。
音がない。
本当に、何も聞こえない。
金沢市内の喧騒から30分しか離れていないのに、
ここは完全に静寂の中にある。
周囲を一周しても15分くらい。
ベンチがいくつかあって、
誰かがパンをちぎって鴨に与えている。
それくらいのんびりした場所。
特別何かがあるわけじゃない。
でも冬の朝にここへ来ると、
頭の中がすっと整理される気がした。
旅先でこういう時間を持てると、
なんか満足感が違う。
湯涌梅林|2月、まだ誰も知らない春がある。
湯涌に梅林があると知ったのは、
宿の主人から聞いたから。
パンフレットには小さくしか載っていない。
玉泉湖の奥、緩やかな坂を上ると、
梅の木が斜面いっぱいに並んでいた。
2月中旬。
まだ全部は咲いていなかったけれど、
数本だけ、白い花をつけている。
雪が残った地面と、
白い梅の花と、
灰色の空。
色のない景色の中に、
その花だけが主張している。
入場は無料。
人もほとんどいない。
見頃は例年2月下旬〜3月上旬。
早咲きの品種から順に咲いていくので、
時期をずらして2回来る地元の人もいるらしい。
金沢の兼六園の梅も有名だけど、
ここは人混みがない分、
ゆっくり見られる。
梅の香りを独り占めできる感覚、
悪くない。